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(写真=Thinkstock/GettyImages)

節税というと、どうしても高所得者や法人、個人事業主に関わりの深い内容だと思われがちだが、税金を納税している人間ならば誰もが無関係とは言えない。今回は節税について一から解説すると共に、サラリーマン、法人、個人事業主、それぞれのパターン別に具体的な対策を紹介する。これまで節税など無縁だと考えていた方にこそ参考にしていただきたい。


節税とは

節税とは、非課税制度や控除制度などを利用して「法の範囲内で」税金の額を節約・軽減することを指す。主な目的は、一般的な節約と同義だが、その効果は税法を始めとした法律に対する理解度によって大きく異なる。

税金は誰もが等しく支払わなければいけないものだからこそ、税法側でもこれを軽減・緩和する手段を多く用意しているのだ。

勘違いしてはいけないのは、節税とは「法の抜け道を探すこと」ではなく、あくまでも「制度を有効利用する方法」だということ。では、実際行われている節税について見て行こう。

節税の種類は?

法人・個人など立場によってもさまざまだが、節税には大きく分けて4種類ある。それぞれ以下の通りだ。

1.恒久的に効果が見込まれる一般的な節税

恒久的に効果が見込まれる節税とは、法人であれば報酬の見直し、在庫管理、特別償却や税額控除といった財産の最適化である。個人であれば、食費や交際費といった経費をきちんと計上することなどが挙げられる。単純ながら、ケースによってはこれだけでも十分に大きな効果を出すことが可能だ。

2.一過性の効果しかない短期的節税

こちらも法人か個人かによって大きく捉え方が変わる。法人ならば、投資型節税と考えた方がイメージしやすいかもしれない。利益増大や人材確保のために広告を打つことなどがこれに当たる。節税効果は一過性であるものの、その費用によって得られる効果は使い道次第で将来につながる。個人の場合は、家賃や保険料の支払いなどを契約変更することで同様の効果が得られる。月払いのものを年払いに変更することにより、一時的に経費を増大させるわけだ。こちらの場合、当然それ以降の節税効果は見込めないことになる。

3.支払時期を繰り延べ(先延ばし)する保守的節税

これは直接的な節税効果が見込める方法ではなく、来期・翌期以降に支払いを繰り延べる形で節税機会を増やす節税だ。2の短期的節税に近い部分があるが、法人ならば決算時期の変更がこれに当たる。個人の場合は、相続時精算課税制度など、特例の適用によって課税時期をずらすといった方法が存在する。

4.商品・物品購入による消費型節税

消費型節税とは、利益=課税金額をなんらかの形で消費することで節税する方法である。2や3に当てはまらない形での消費で代表的なのは、いわゆる節税商品の購入だが、これには多額の資金が必要になる。課税金額が減少すれば当然納税額は節約することができるものの、それに見合う支出であるかどうかの見極めが肝心だ。

どうやってやるの?おすすめの税金対策の方法

4つの節税について解説したが、これらの方法には優先度が存在する。この順序や時期を誤ると、控除枠などの利用といった、本来得られるはずの節税権利すら放棄しかねないので、注意が必要だ。そこで、先に挙げた1~4の順番通り節税に取り組むことをおすすめする。個人であれ法人であれ、これは大前提であると同時に最も効果の大きな節税と言えるだろう。

しかし、多くの人間が真っ先に4の消費型節税から始めてしまう。これは節税における失敗の典型例で、この原因は税制への無理解にある。

確かに、消費型節税は取り組みやすく、理解も易しいため節税効果が得られていることを実感しやすい。だが、実際には特例や控除枠を利用した方がはるかに大きな節税効果が得られていたというケースは多い。具体的にどのような節税が考えられるのか、各ケースに分けて紹介していこう。

パターン別節税対策:サラリーマン編

法人や個人事業主に比べ、節税手段が少ないと思われがちなサラリーマンだが、利用できる制度は数多く存在する。代表的なものとして給与所得控除が挙げられる。

サラリーマンの収入には一定の控除が認められており、最低でも65万円の年間控除を受けることが可能だ。通常は会社の方で処理されているかと思うが、不安がある場合は給与明細を確認して見ると良い。もしも正しく処理されていない場合、この控除を受けるだけでも大きな節税効果が見込めるだろう。

控除額を差し引いたのちに課税対象となる給与所得だが、こちらも見直すべき点がいくつかある。そもそも給与所得とは、年収から給与所得控除を差し引いたものであり、これを節税するならば、年収に含まれる費用と含まれない費用とを認識しなければいけない。

年収に含まれない非課税項目とは、祝い金や見舞金、出張旅費、通勤費などが当たるが、中でも通勤費の扱いは注意しなければいけない。通勤費は月額10万円以内という制限はあるものの、基本的には非課税項目であり、給与に上乗せされるべきものではない。

ここでもう一度確認していただきたいのだが、あなたが受け取っている給与明細ではどのように処理されているだろうか。もしも通勤費が通勤費として処理されておらず、特別な記載なく給与に含まれてしまっている場合、少なくともその金額分余計に課税されてしまっていることになる。

その他にも、給与所得には特定支出控除という制度が設けられており、支出内容によっては通常認められている給与所得控除の枠を超えて控除を受けることができる。自動的に適用される給与所得控除と違い、特定支出控除の適用には確定申告の必要があるなど、若干の手間はかかるものの、関連費用の支出が多い方ならば見合った節税効果が得られるだろう。

平成25年の税制改正において、資格取得費や勤務必要経費が適用対象になるなど制度枠の見直し・拡大が計られ、以前に比べるとはるかに実用しやすくなった。資格取得費は、結果的に資格取得に至らずとも適用対象となるため、関連書籍の支出が多い人にとっては、実に注目すべき改正内容となっている。

パターン別節税対策:法人編

法人が行う節税対策としてよくイメージされるのが、利益を抑える方法である。先に挙げた節税方法の中で言うと4の消費的節税に当たるもので、これは法人税の節税に繋がるものの、効果的な対策かというと決してそうではない。

確かに、過剰な利益をそのまま計上してしまうことは問題だが、そもそも経費や給与、役員報酬などが会計的に正しく配分されていればそのような状況にはならない。より根本的な対策を計る必要があるだろう。

具体的にいくつか紹介する。まず、未払費用や前払費用を年度内に損金計上すること。主に決算期末前後で生じる費用に対してとられる処理であり、駆け込み的な節税手段として利用される節もあるが、どちらかというと普段から徹底しておくべき基本的な部分だ。

この辺りの理解が進んでいれば、赤字が見込まれる期の費用を来期へ持ち越すなどの選択肢も増える。逆に大幅な黒字が見込まれる期に設備投資や修繕を行うことができれば、期末に慌てずに済むだろう。この「収益と支出のバランス」について、それぞれが発生するタイミングをきちんと認識していれば、意図的に調整することは容易い。

そのほか、法人が比較的簡単に行える節税対策として、役員給与・賞与が挙げられる。役員への給与は、従業員と同様に毎月一定額を支給する形式であれば損金、つまり支出として計上することができる。

これを「定期同額給与」と呼び、ただ支給方法を徹底するだけなので取り組みやすく、実施している法人も多いだろう。もしも実施されていないのであれば、他の費用と併せて今すぐに見直すべきだ。

次に、役員への賞与だが、こちらは従業員への賞与とは扱いが大きく異なるため、注意してほしい。従業員への賞与は時期を問わず支出として認められるため、駆け込み的に処理することが可能だが、役員への賞与ではこれが認められていない。

この方法を利用することができると、期末段階でいくらでも支出を大きくすることができてしまうため当然と言えば当然である。しかし、役員賞与も、事前に支給する日付や金額を届け出ることにより従業員賞与と同様に支出として計上することができる。

これを「事前確定届出給与」と呼び、基本的に期初、遅くとも年度4か月目までに届け出なければいけない。また、届け出た日付や金額が守られていなければ認められない、などハードルは高いものの、役員賞与がまるまる支出として計上できることを考えれば見逃せない節税対策だ。

そのほかにも法人が行える節税対策は数あるが、その多くは年間を見通した対策、あるいは数年先を視野に入れた対策ばかりである。節税とは一時的なものではない、ということをなによりも留意すべきだろう。

パターン別節税対策:個人事業主編

個人事業主の節税を考える上で、まず個人事業主に課される税金にはどのようなものがあるかを知るべきだ。主なものは、所得税、住民税、事業税、消費税の4つが挙げられる。なかでも節税対策として考えなければいけないのは、所得税の節税。

所得税が節約できると、住民税や事業税といった税金も結果的に安くなるのである。所得税節税のために具体的になにをすれば良いか、重要なポイントは2つある。青色申告をすることと、経費を確かに計上すること。実にシンプルで、その効果は大きいのだが、これらを正しく行えていないケースが少なくないのだ。

白色申告から青色申告に変更するだけで、最大10万円の控除を受けることができる。さらに、確定申告に際して貸借対照表と損益計算書を提出すれば、最大65万円の控除が受けられる。複式簿記による記帳も求められるため、最低限の簿記知識が必要になるが、65万円という控除以上に簿記知識の有無は費用計上に関わるため看過すべきでない。

加えて、平成26年1月より白色申告にも単式簿記による記帳が義務付けられたため、白色申告のメリットはほぼ無くなってしまった。いずれにせよ記帳しなければいけないのであれば、手間を惜しまず青色申告すべきだろう。

もしもあなた自身が簿記知識を持ち合わせていない場合、おそらく少なからず経費を見落としているはずだ。あるいは、各項目に与えられている控除枠を最大限活用できない形で計上してしまっている可能性が高い。事業に関わる費用は言わずもがな、個人事業主ならば普段生活する上で発生するあらゆる支出を経費として計上することができる。

例えば、自宅と事業所が別にある場合には、自宅の家賃や光熱費を見落としがちだ。経費として認められるためには事業として使っている必要があるが、わずかでも事業に関わる範囲内で自宅を利用しているのであれば、部分的に経費として計上することが可能だ。

節税するなら意識を向けたい税制改正

特定支出控除や白色申告の件で少し触れたが、税制はたびたび改正されている。昨今の改正では特に「高所得者への増税及び低所得者への減税」といった傾向が見られ、平成26年度の税制改正では高額所得者の給与所得控除が縮小されている。

特定支出控除で挙げたように、控除枠の拡縮ばかりでなく適用範囲の変更もあるため、利用を考えている方は注意しなければいけない。住宅購入に際して適用される住宅ローン控除などは、特に時勢による変化が顕著だ。

省エネやバリアフリーの基準は年々切り替わり、また消費税増税前後によって控除額が大幅に増減する。節税を考えるならば、直近で行われた税制改正によって自分が影響を受けるのかどうか、把握しておくべきだ。

節税と脱税はどう違う?

脱税とはなにか。違法な手段で課税を免れようとすることは当然脱税だが、そのつもりがなくても結果的に脱税となってしまうケースがある。それは申告漏れだ。本来課税対象である税金を申告せず支払わなければ、これもやはり脱税だ。

では、節税とはなにか。これまで説明した通り、法の範囲内で税金軽減を目的として各種控除などを最大限活用することを節税と呼ぶ。端的に表現するならば合法か非合法かの違いだ。

この違いを理解した上で、なお節税に対して不安視するのは、特例や控除を活用したつもりが無自覚の内に脱税してしまっていた、というケースを恐れるからではないだろうか。これは単純に税法に対する無理解が原因であり、むしろ節税を意識しておらずとも発生してしまう可能性はある。節税を積極的に行うか否かに関わらず、税金に対する知識は最低限持つべきなのだ。

相談するなら税理士などの専門のコンサルタントに

それでも不安ならば、素直に専門家の手を借りると良い。法人や個人事業主はもちろん、個人でも確定申告を税理士に依頼することは珍しくない。余計な費用がかかることに抵抗がある方は、まずは相談するだけしてみても良いだろう。依頼することによって具体的にどの程度節税になるのか概算してもらい、その上で判断すればより納得が行くはずだ。