市場の想定外だった英国の欧州連合(EU)離脱とは比べ物にならないショックが襲ってきた。史上、最も市場を心配させた米大統領選挙のひとつとなった、2016年のヒラリー・クリントン民主党候補(69)と、ドナルド・トランプ共和党候補(70)の一騎打ちは、ブレクジットと同様、専門家の予想を覆し、トランプ氏の当選が確実となった。

米国民は、オバマ政権下の経済政策に落第点を付け、「米国第一」を掲げる内向きな不動産王に将来を託した。市場は、株の暴落・ドル安円高で反応している。

投票日のネブラスカ州のオマハでは、米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット最高経営責任者(CEO)兼会長(86)が、投票所に向かう地元有権者のためにトロリーバスのシャトルを仕立てて便宜を図り、話題となった。今回の選挙はクリントン氏支持の「投資の神様」バフェット氏にとっても、これからの市場の行方を大きく左右するイベントであり、他人事ではなかったのだ。

米経済専門局のCNBCは、「為替トレーダーの誰もが、今日は帰宅せずに、選挙結果が出るのをデスクにかじりついて待っている」と伝えた。一方、シティグループ、バークレイズ、ゴールドマン・サックスなどは軒並み、顧客に対して「大統領選後の市場の乱高下に準備をしておくように」と助言している。