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(写真=PIXTA)

ふるさと納税制度が導入されて8年が経過しました。当初はなじみの薄かったこの制度ですが、東日本大震災をきっかけに認知度が高まり、2015年度の納税受入額は約1,653億円と、前年比4.3倍の伸びになりました。給与所得者を対象に、年末調整で税の控除ができる制度も設けられたため、ふるさと納税を利用するサラリーマンの皆さんが12月に年末調整を迎えるにあたり、留意しておくべきことは何でしょうか。

ふるさと納税ってどんな制度?

一般的に、自治体への納税というと、現在住んでいる都道府県、市区町村に税金を納めることをイメージしますね。しかし、今は住んでいなくとも、自分の育った故郷に貢献したい、そのように考える方も多いのではないでしょうか。

ふるさと納税とは、寄附制度の一つです。税制を通じて、自分の生まれ故郷だけではなく、縁のある地域や応援したい地域などに貢献するという考えに基づいて生まれた制度です。

仕組みとしては、都道府県や市区町村に対して寄附をすると、その寄附金額から原則として2,000円を控除した金額が、その寄附をした年の所得税と、寄附した翌年度の住民税から控除されることになっています。

これまでは、控除の上限額が住民税額の1割でしたが、2015年1月1日から住民税額の2割にまで拡充されました。

ふるさと納税を行うと・・・?

ふるさと納税を行う意義は、何と言っても地方を応援することにあります。
最近では、熊本地震や北海道の台風被害など、自治体によっては、ふるさと納税を災害復旧に活用するところもあります。赤十字といった団体を通じた寄附と違い、ダイレクトに自治体に届くので、より効果的な復興支援につながりやすくなります。

ふるさと納税を行う方にとっても、税金の控除を受けられたり、その地方の特産品を返礼品としてもらえたりするといったことがメリットとしてよくあげられています。

税金の控除も、従来、ふるさと納税による寄附金控除は確定申告をしなければ適用を受けることができませんでした。しかし、2015年4月から、サラリーマンやパート・バイトなど給与所得者については、確定申告をしなくても、ふるさと納税による寄附金控除の適用が受けられることになりました(「ふるさと納税ワンストップ特例制度」)。

ふるさと納税の控除が簡便に、ただし注意が必要

ワンストップ特例制度で税控除が簡単になった、といっても誰でも無条件で何もせずに適用が受けられるわけではありません。適用を受けるのに必要な条件の概要は以下の通りです(総務省ホームページより)。

1. 確定申告が不要な給与所得者であること
給与所得についての所得税は、通常、年末調整で完結します。そのため、多くのサラリーマンは確定申告が必要ありません。しかし、中には医療費控除や、住宅ローン控除などを行うために、確定申告が必要な人もいます。また、年収2,000万円を超える給与所得者は、もともと確定申告を行う必要があります。こういった場合には自ら確定申告を行い、そのなかで寄附金控除の申告も行うことになります。

2. 1年間のふるさと納税先が5自治体以下であること
ふるさと納税の年間利用回数の平均は4.2回。それを考慮して給与所得者の寄附先が5自治体以下なら、事前に3の手続きを行えば確定申告をしなくてもよいことになっています。しかし、なかには6自治体以上寄附する人もいるでしょう。その場合には、確定申告を行う必要があります。

3.ふるさと納税を行った年の翌年1月10日までに「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を各自治体に提出すること
「確定申告不要」とするためには、ふるさと納税をした先の各自治体に「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する必要があります。この申告特例申請書は、寄附時に一緒に申請書の送付を申し込むか、あるいは専用サイトからプリントアウトすることで入手できます。自治体によっては、ふるさと納税専用サイト内の申込フォームに「申請書を希望する」というチェック項目があります。この項目にチェックして申告特例申請書を送ってもらい、必要事項を記入のうえ、各自治体に提出しましょう。

いかがでしたか?ふるさと納税をしたことがないという人も理念と制度をしっかり理解したうえで、ふるさと納税について考えてみてはいかがでしょうか。(提供: お金のキャンパス

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