アメリカン・エクスプレスの調査から、英国ではペット市場が106億ポンド(約1兆4511億円)に達していることが判明した。
回答者1000人の26%が「年々ペットにかけるお金が増えている」と答えており、全体平均は年間1252ポンド(約17万円)。59%が「(犬の)誕生日にはケーキ、特別な日にはプレゼントなどを用意する」、10%が「毎週、美容院に連れて行く」など、人間と同じ、あるいはそれ以上に「犬を甘やかす」傾向が強まっている。
犬用贅沢品・サービスが小規模事業を活性化
英国人の動物愛護心の強さは以前から広く知れわたっていたが、ここ数年は人間から見た「ペット(特に犬)へのご褒美」が市場を活性化している。英ペットフード製造団体(PFMA)のデータによると、ペットを飼う世帯自体は減少傾向にあり、2014年の130万世帯から110万世帯、ペット数は650万から570万に減っている。
犬の占める割合は24%、通常のドッグフードが支出を占める割合は31%と増減が見られないにも関わらず、ドッグオーナー(犬の飼い主)が使うお金は増加。犬用の贅沢品に魅了される英ドッグオーナーが増えた結果のようだ。
これらの層をターゲットに、英国では昔から人気のあったペット用「美容院」や「トレーニング」のラグジュアリー版が続々と登場しているほか、「犬用ケーキ」「犬用デーケア」「犬用パーティー」「プロによる写真撮影」などのビジネスも大繁盛。宝石や金で作った首輪などの高級アクセサリーも、珍しくなくなった。
2014年の設立以来、犬の健康管理サービスを提供している英スタートアップ「Tails.com」は、最近1000万ポンド(約13億6896万円)の資金調達に成功。犬の健康状態などにあわせてカスタマイズしてくれる、ドッグフードが大人気商品となっている。
また「パフォーマンス・フォー・ペッツ」なる、ペットを楽しませるためのエンターテイメントサービスも登場。欧米では誕生日などイベント時にゲストをもてなす目的で、自宅などにエンターテイナーを呼ぶことが珍しくないが、「パフォーマンス・フォー・ペッツ」では人間が動物のコミュニケーション法(ゼスチャーや声など)を用いて、ペットをもてなすのだという。
気になるお値段は、トレーニング1時間セッションが60ポンド(約8214円)、写真撮影は125ポンド(約1万7112円)など、人間パーティーは一匹につき2時間15ポンド(約2053円)。別途で犬用アイスクリーム3.75ポンド(約513円)や、ゲスト犬用お持ち帰りバッグ2ポンド(約274円))なども注文可能だ。
ドッグオーナーの60%が個人経営の小売店やサービスを利用していることから、こうしたペットビジネスの盛り上がりが、小規模な事業の活性化に著しく貢献しているという点は興味深い。(ZUU online 編集部)