要旨

  • 中国では、少子高齢化の進展、それに伴う社会保障制度の整備が進む中で、医療や年金などの社会保障関係費が増加している。
  • 2015年の社会保障関係費は3兆972億元で、一般公共予算支出のうち17.6%を占め、最も大きい支出項目となった。
  • 中国では、中央と地方財政が明確な役割分担をしており、国防費は中央財政が、社会保障については地方財政がその多くを担っている。社会保障関係費は、地方財政の支出が増加しており、2015年は、地方財政が7割、中央からの財政移転が3割を負担した。
  • 財政の支出構造の変化をみると、社会保障関係費の割合は一貫して増加している。また、社会保障関係費は支出規模が最も大きいのに加えて、増加幅も前年比18.5%増と大きく、その動向が財政に与えるインパクトは大きい。
  • 中国の財政支出については、国防費が何かと注目されるが、社会保障関係費の支出規模はその3倍にあたり、直近2015年の増加率もそれを遙かに凌いでいる。
  • 政府は2016年6月に、介護保険制度のパイロット地区として15都市を発表し、2020年を目途に全国導入を目指すとした。
  • ただし、制度運営に必要な財源の確保については課題もあり、国民にも給付に応じた負担を求めていく必要がありそうだ。