坂本孝,40代,ゴールデンエイジ
(写真=The 21 online/坂本 孝(俺の〔株〕社長))

40代という「ゴールデンエイジ」をいかに過ごすか

40代になると自分の限界を感じる人がいる一方で、40代から大きく花開く人もいる。後者の代表格が、ブックオフ創業者で、現在は『俺のフレンチ』などで業界に革命を起こし続けている坂本孝氏だ。50歳でブックオフを立ち上げて以降、立て続けに大ヒットビジネスを生み出した裏には、40代までの試行錯誤の日々から得た学びがあった。

失敗続きの40代。それでも金脈を探し続けた

50歳で中古書販売の『ブックオフ』を創業し、『俺のイタリアン』『俺のフレンチ』で飲食業に参入したのは70代。年齢を重ねるたびに新たなチャレンジを続け、従来の常識を覆す経営手法によってビジネスを大成功に導いてきたのが坂本孝氏だ。その名が広く世に知られるようになったのは50代以降だが、40代の頃はまさに「失敗の連続」だったと話す。

「人生を10年ごとの刻みで振り返るなら、私の40代は『空白』でした。それまでにいくつものビジネスを立ち上げては失敗し、40代までに成功したのは中古ピアノ販売業だけ。50代でようやくブックオフを成功させましたが、それを含めても『2勝10敗』です。ただ、何度失敗しても、いつかツキが来ると信じて、鉱山を掘りまくっては金脈を探し続けてきた。それが私の40代です。

要するに私は遅咲きの人間で、やることが普通の人より10年遅れなのです。50歳で創業したブックオフも、他の人なら10年早く始められたのかもしれません」

「自分の失敗」より「他人の失敗」から学べる

失敗だらけの40代。それでもくじけることなく新たな挑戦を続けられたのは、いったいなぜだったのだろうか。それは、「やる!」と決断することこそが、どんなビジネスにも共通する成功のノウハウだと確信していたからだ。

「当時、私が心がけていたのは、仕事の合間になるべく時間を見つけ、数多くの経営者から話を聞くこと。それもなるべく『失敗談』を聞くことでした。そうしてわかったのは、失敗する人は『考えすぎ』だということ。いろいろな情報を集めて、まるで大学教授みたいに分析し、『なるほど』と納得する。でも、分析することと実際に行動することは別です。たいていの人は、結局、やらない。行動しなければ成功しないのは当たり前です。理屈はともかく、『やる!』と決めることこそが重要なのです。

私が中古ピアノ販売を始めたときも、まさにそうでした。本当は新品のピアノを売りたかったのですが、資金がなく、中古しか選択の余地がなかった。でも、思い切ってやってみたら、そこに宝の山がありました。『本当に中古でいいのだろうか?』などと考えすぎず、『やる!』と決断したからこそ、人生での1勝目を上げられたのです」

自身も数多くの失敗をしてきた坂本氏だが、自らの失敗を振り返るより、他人の失敗の経験を聞くことからのほうが、気づかされることが多かったと話す。

「自分の失敗からは学べないものです。人間は、自分のことは客観的に見られないものですから。私もいまだに、自分の数々の失敗の原因がなんだったのか、理解できていません。

でも、他人のことならよくわかります。皆さんも、自分の欠点には気づかなくても、他人の欠点は目につくでしょう? だから他人の失敗から学んだほうがいいのです。できるだけ多くの人に話を聞いて、『こうすると失敗する』というパターンがわかれば、肝に銘じておくことができます」