中国のオンライン決済市場で圧倒的なシェアを誇るのが支付宝(アリペイ)です。アリペイは、グローバルにECビジネスを展開するアリババグループ傘下の企業であり、中国最大のオンライン決済企業として、中国市場シェア50%以上を占めております。年間で約7兆円の決済を処理しており、最近では、日本のヤフーと提携するなど話題はつきません。さらに利用者数において、米国ペイパルも追い抜き、現在世界ナンバー1の企業となっています。
本稿では、オンライン決済市場の概要を確認し、アリペイの最近の動向から、アリペイの戦略について考察を行いたいと思います。また、今後のオンライン決済市場の動向についても最後に述べたいと考えております。
オンライン決済市場概要
eコマース向けのオンライン決済、および携帯端末を使用した商品・サービスの決済は世界的に普及しており、今後のIT市場の牽引役となる見方があります。eコマース向けのオンライン決済については、2010年から2014年までに年間で18.1%増加する予測も報告されております。特に中国については、2012年B2C市場で30%以上の成長を経験、2013年にも同規模の成長との報告もあり、アメリカに次ぐ、第二位の市場と考えられております。
eコマースにおける取引回数については、2012年に254億取引、2013年、2014年でも顕著な伸びを見せ、2014年の見込みとしては350億取引回数に到達するという予測もあります。中国に加え、インド、インドネシアについて、eコマース向のオンライン決済については急速な成長が見込まれており、今後もますます活況となる市場であることに間違いはないです。
支付宝(アリペイ)の現状
アリペイは中国最大のオンライン決済会社となり、B2B、B2Cともにカバーしています。アリペイは、売り手と買い手の間にプラットフォームを提供しています。売り手は、買い手がアリペイに入金したことを確認してから商品出荷ができ、買い手は、商品を確認してからアリペイから売り手への支払をリリースできる仕組みが構築されており、この仕組みにより売買取引の信用問題は解決されました。国内決済サービスに加え、2007年より海外ECサイトでの決済手続きも開始し、外貨の取り扱いも開始しました。旺盛な中国市場に加え、日本のようなECサイトが先進的に確立している市場でのサービス提供も開始、グローバル市場に対してもシェアを獲得するべく動いています。今年にはいり、日本ではヤフー・楽天市場とも提携を行い、人民元建てで日本のECサイトでの買い物ができるサービスを提供することとなりました。このようなグローバルな提携は、日系企業だけではなく、ロッテグループ、iHerbやWiggleとも実施しており、アリペイの海外展開は加速しております。eコマース向けのオンライン決済に加え、モバイルサービスについても力を入れています。
2013年より、アリペイのモバイル決済サービスによって、北京でのタクシー料金支払いが可能となりました。北京に加え、杭州、青島、成都、長沙、深センなど10数都市で実施されており、eコマース向けのオンライン決済だけでなく、モバイル領域、モバイル決済についてもサービスを拡充しています。アリペイは、今後も中国のオンライン決済市場にてマジョリティーを取りながら、国際ECサイトとの提携を加速させ、さらにはモバイル市場においてもその存在感を示していくことになるかと思います。