要旨

  1. (トピック) 2017年の原油相場を左右する最大の材料となるのが、昨年終盤に合意されたOPEC加盟国と非加盟国による減産の遵守状況だ。「概ね守られている」との印象が打ち出せるかがポイントになる。同じく供給サイドでは、減産から除外されたリビアとナイジェリア、既に再稼働の動きがみられる米国の生産動向が注目される。需要サイドでは、牽引役であるインドと中国経済の動向が重要になる。需給以外ではドルの変動に注目。ドルと原油価格の関係は、通常逆相関になることが多い。また、リスクオフ(回避)にも注意が必要だ。市場がリスクオフ地合いになるとリスク資産である原油も売られやすくなるが今年はリスクオフに繋がりかねないイベントが多い。2017年原油相場のメインシナリオとしては、年序盤は上値の重い展開になりそうだ。産油国の減産が曲がりなりにも実行されることが買い圧力になるが、買い越しポジションが既に積み上がっているように、ある程度織り込み済みである。また、減産不参加国による増産により減産効果が一部相殺されること、価格上昇が米シェールなどの増産を促すことが意識されること、中国やインドの景気減速感が強まることも上値を抑制する。その後、春頃以降は上昇基調になり、レンジが切りあがると予想。5月末OPEC総会では減産延長が決まる可能性が高い。また、年半ばからは需給均衡が意識されることが原油価格を押し上げる。ただし、米シェールの増産加速への警戒から、60ドル台の定着には至らないと見ている。なお、特に減産合意の遵守状況とそれを受けた市場の反応は不確実性が高く、価格変動リスクも相応に高い。どちらかと言えば、上振れリスクの方が高いだろう。
  2. (金融市場) 目先は本日の米雇用統計次第だが、その後はトランプ期待が剥落、米決算でドル高の悪影響への懸念が強まることなどから、一旦ドル安に。金利もやや低下へ。

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