psycho-pass
(写真=Sergey Nivens/Shutterstock.com)

「サイコパス」という言葉を知る人は多いだろう。サイコパスとは、他人に冷淡で共感することがない、自らの行動に責任感と罪悪感を持たない、自信過剰で自尊心が高い、他人の意見などに耳を傾けず自己中心的な行動を取るなどといわれている。そこには、強靭な精神力と恐怖心の欠如が伴っており、「サイコパス」は臨床医学的に「精神病質者」を指し示す。

その精神構造と行動の特徴だけを取り挙げると、「脳に欠陥があり、一般的な常識を持つ人間とは異なる存在」として捉え、サイコパスに「冷血漢」で「自己中心者」という烙印を押し、ともすると「凶悪犯罪者」にまで極端にイメージを繋げる人も多いだろう。

一般人よりサイコパスの確率が高い企業経営者

だが、サイコパスの精神的特徴を、ネガティブな側面だけを浮き上がらせて捉えることは誤っているようだ。サイコパスの思考や行動特性と、経営者層に求められる資質や行動力などを照らし合わせてみると、幾つかの共通点が浮かび上がってくる。

1. 人を惹きつけるビジョンと表現力
自尊心が高く、自己の信念や夢を多弁に語るサイコパスの精神部分は、先陣を切って企業理念を語る表現力にも似る部分だろう。決算発表会を例に挙げれば、目標値を達成するための魅力的なビジョンとロードマップを自信に満ちた説得力のある言葉で情熱的に語り、聞く者を納得させる表現力だ。

2.自己中心的だがカリスマ性のある人間
類まれな才能と論理的思考、そして柔らかな物腰で語る雄弁さにも表れていた人間的な魅力によって、生前は「カリスマ」とも称された故・スティーブ・ジョブズ氏(米Apple社・元CEO)も、ある意味で自己中心的な経営者だったとされている。ジョブズ氏が登壇する「Macworld Expo」の基調講演では、新製品の革新性や今後の夢のある製品のイメージなどが語られ、その一挙手一投足が注目の的となった。そして、多くのMacユーザーが「信奉者」として、Appleの業績回復を下支えした。

3.速やかな決断と行動力
サイコパスは周囲の意見には耳を貸さずに、自らの感情で判断して行動する。企業経営者も、企業のM&A(合併・買収)といった大きな方向性の舵取り時には、大いなる決断を迫られる。周囲からの異論・反論も当然のようにあるが、最終的な意志決定者は経営者自身だ。社内外のさまざまな意見に右往左往していては、経営者は勤まらない。

4.非情であり、周囲に冷酷
景気の低迷時に業績が悪化し、組織の合理化を推し進めた企業も少なくない。その場合、個別事業からの撤退や工場閉鎖など、どんな状況下でも冷静かつ合理的な判断が求められるが、それは結果として非情な決断ともいえる。そこには、人事異動や人員削減など、社員が痛みを伴うケースがほとんどだ。

企業の合併でさえ、表立っては「対等合併」であっても、企業同士の力関係によって、降格を受け入れざるを得ない職員が出てくるケースも少なくない。「倫理観」や「相手・人の心情」などを鑑みずに「目的のために手段を選ばない」のが経営者なのだ。

5.恐怖心の欠如と強靭な精神力
経営者に「強靭な精神力」といったサイコパス的な特性がなければ、景気動向などに左右されがちな事業の継続性を維持・推進することは難しい。一般人であれば、事業採算など数値の浮き沈みなどに敏感に反応し、常に過剰反応してしまうかもしれない。

M&Aなどの業界再編とともに社業の命運をかけた決断のみならず、事業採算という数値とともに周囲からもさまざまな角度から業績を評価される「恐怖」を感じない精神力を持ち合わせているからこそ、経営者が務まるといっていいのだろう。(提供: 百計オンライン

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