トランプ米国大統領の就任演説は、想定の範囲内で特にサプライズは見られず、外交政策への言及もなかった。これでトランプ氏就任を意識した中国の強硬な宣伝戦は一区切りついた。その効果はあったのだろうか。今後どのようにメッセージを発信していくのだろうか。就任演説へ反応から探ってみよう。
官製メディアは当初ぶれる?
新華社ワシントン支局は就任式直前に記事を配信した。就任式の200年以上に及ぶ歴史の紹介には字数をかけ、展望には欠けるものである。長くない記事に6人の記者が署名するなど、特派員を派遣し大掛かりな体制で臨んでいることはうかがえる。
その後21日の5時45分には、この記事に「事実+」という項目を追加して更新した。(1)トランプ演説10のポイント、(2)トランプ就任は世界にどのような変化をもたらすか、その7つの焦点とは--の2つである。
以前の記事に追加しただけの安易な構成だ。問題でもあってこれ以上の内容や新記事は北京から差し止められたのだろうか。
また人民日報国際版「環球時報」のネットメディア環球網は、ドキュメンタリータッチの長い記事をアップロードした。写真や動画をふんだんに使用したビジュアル重視の面白いものだった。ところが半日後には削除されていた。どうやら週明けの外交部記者会見前に、各媒体に記事の〝過不足”を調整する動きがあったようである。