トランプ,米中関係,新華社
(写真= Lukasz Stefanski /Shutterstock.com)

トランプ米国大統領の就任演説は、想定の範囲内で特にサプライズは見られず、外交政策への言及もなかった。これでトランプ氏就任を意識した中国の強硬な宣伝戦は一区切りついた。その効果はあったのだろうか。今後どのようにメッセージを発信していくのだろうか。就任演説へ反応から探ってみよう。

官製メディアは当初ぶれる?

新華社ワシントン支局は就任式直前に記事を配信した。就任式の200年以上に及ぶ歴史の紹介には字数をかけ、展望には欠けるものである。長くない記事に6人の記者が署名するなど、特派員を派遣し大掛かりな体制で臨んでいることはうかがえる。

その後21日の5時45分には、この記事に「事実+」という項目を追加して更新した。(1)トランプ演説10のポイント、(2)トランプ就任は世界にどのような変化をもたらすか、その7つの焦点とは--の2つである。

以前の記事に追加しただけの安易な構成だ。問題でもあってこれ以上の内容や新記事は北京から差し止められたのだろうか。

また人民日報国際版「環球時報」のネットメディア環球網は、ドキュメンタリータッチの長い記事をアップロードした。写真や動画をふんだんに使用したビジュアル重視の面白いものだった。ところが半日後には削除されていた。どうやら週明けの外交部記者会見前に、各媒体に記事の〝過不足”を調整する動きがあったようである。

環球時報の評論

その後に出た環球時報の評論がよくまとまっている。タイトルは「米国優先のトランプ就任、中国には準備ができているか?」である。

・トランプ大統領は、今日をもって権力はワシントンから人民の手中に移ったと表明した。
・中国やロシアをはじめ米国外の国名を挙げての言及はなかった。
・エリートには不評、彼らとの距離を生じさせている。
・国内中心路線と世界秩序は相反する。それを両立させるかのような発言は妄言である。
・経済の振興と民生の向上を第一の目標に設定した。
・反ワシントン反エリートを叫びながら、選んだ閣僚は大金持ちばかりという矛盾はどうなのか。

以上の点を指摘をしている。そして最後に、米国の対中政策決定は 米中の利益関係をどのように認識した上で、どう行動を改変するかがポイントとし、もしトランプ政権が中国の歩みを止めようと考えるなら、中国はどのような手段の行使をも排除すべきでない、と結んでいる。

ネットメディアと好意的なユーザーコメント

各ネットメディアはさまざまな観点からトピックをアップロードしている。

・大統領の息子バロン君は、ジョン・F・ケネディJr.以来のホワイトハウスから小学校へ通う「男子」となる。
・メラニア夫人はパレードのとき何度もバロン君の手を握っていた。
・昨日の夫人の赤のドレスはラルフローレンに違いない。
・トランプはホワイトハウスの内装を金色に変更した。

などの家族に関する話題は、日本ネットよりはるかに多い。最高指導者とは天下第一家と考える中国的思考は健在ということだろうか。ユーザーコメントを見ても冷めた皮肉はあっても、攻撃を加えるものは少なく概ね好意的である。

・米国民衆は反民主主義化を不安視。
・トランプ就任初日から全世界で女性による抗議デモ。
・反トランプデモにマドンナ登場。
・最初の行政命令はオバマケアの改変。

このあたりの取り上げ方は日本と大差ない。政治ネタに対するコメント内容も穏当なものだ。反日ニュースに対する激しい怒りのコメントとは大違いである。国民は政府の米国非難はけん制でしかないことをよく理解している。官民とも米国とは上手な関係を築きたいと願っている。日米の扱いはまったく異なる。

中国の「アメリカファースト」がぶれることはない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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