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投資の応用
Written by 安東隆司 20記事

元プライベートバンカーが語る(14)

確定申告シーズン「海外ETF保有者」に落とし穴? 保有口座の確認を

海外ETF,確定申告
(写真=PIXTA)

今年も確定申告シーズンがやってきた。何ら疑問を持たずにすでに申告を終了させてしまった投資家は改めて保有口座を確認して頂きたい。特定口座で海外ETFを保有していた投資家は注意が必要かもしれない。

「特定口座」で保有していた海外ETFが、「株式併合」というイベントによって、自分では気付かぬうちに「一般口座」に移管される事象が一部で発生しているのだ。当初は、「特定口座」で購入したのだから、証券会社サイドで「損益通算を行っているはず」と考えてしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまう。どこに注意点が潜んでいるのか解説していこう。

併合海外ETFがいつのまにか特定口座から一般口座へ

海外ETFの株式併合で、保有銘柄が一般口座へ移管するとどのような問題があるのだろうか。

まず株式併合について簡単に説明すると、たとえば併合比率が4:1の場合であれば、4000株のものが1000株になる。併合比率が2:1の場合であれば、4000株のものが2000株になるといった具合だ。整数で割り切れる場合のほかに、整数未満株が発生する場合もある。その場合は現地で売却されたうえ、外貨で口座入金となるケースだ。

2016年11月、海外ETFの株式併合が複数の銘柄で発生した。一般口座に移管して「簿価が消滅」するケースが発生している。ある証券会社では「購入時の簿価」が一般口座に引き継がれることなく、「購入時の価格」が「0」という表示になってしまった。その海外ETFの損益では、「時価評価=益」と表示され、「すごく儲かった気持ち」になってしまうという誤解を生む可能性があるわけだ。しかし誤解だけでなく、経済的損失に繋がる可能性がある。

というのは、その海外ETFに譲渡損失がある場合だ。他の国内・海外の株式・ETF等との損益通算が「特定口座」で無事に終了していると勘違いしてしまうケースである。「特定口座」で証券会社が損益通算を自動的に行っているはずというのは認識違いで、実際は一般口座に移管されているため、損益通算は投資家自身が申告して行わなければならないわけだ。結果的に譲渡損失分が申告に反映されていないと、余分に税金を納める事象が考えられる。

併合銘柄だけでなく、他社から移管手続きを行った銘柄についても同様で、一般口座で当初の簿価の管理、異動時には手作業による簿価管理が必要である。

株式併合の発生時に、海外ETFは一般口座に移管するが、対して外国株式の場合には特定口座のままという手続きの証券会社もあった。

このような事態にどう対応すればいいのか? 簿価計算データの入手

併合銘柄、移管銘柄の売却を行った場合に、証券会社の「特定口座の譲渡損益」の計算から外れてしまっているため、損益通算を行うためには「一般口座の譲渡明細」を作成する作業が必要になってくる。ここでの問題は、「為替水準」まで網羅したデータが必要だということだ。一般口座の譲渡明細の入手を試みると、ある証券会社では外貨ベースでのデータのダウンロードが可能であった。しかし、申告には「申告用為替」を乗じた「円貨ベース」の数値が必要である。結果としては手作業が必要であった。

他の証券会社にも問い合わせしてみたが、そこでは「申告用為替」を盛り込んだデータのダウンロードは出来ず、しかも外貨ベースでのデータダウンロードも不可能だった。売買や配当の計算書を「郵送での入手」を選択している者は、手元に郵送で送られてきた「計算書」のデータを頼りにするしかないことが判明した。ダウンロードデータ選択者には、データをダウンロード入手できる可能性があったらしいが、郵送選択者はダウンロードができないとのことであった。

計算書は配達記録で送られてくる書類でもないので、途中で紛失しているケースも考えられる。「紙ベース」利用者のデータの正確性は心もとないのが現状だ。

海外ETFの「株式の譲渡損益」計算方法

海外ETF(米国市場上場の米国株式の場合)の譲渡損益の計算をここで復習する。ある証券会社のHPの説明によると

売却時の円換算した受払金額 - 購入時の円換算した受払金額
・売却時はドル建て金額 × 売却約定時のTTBレート
・購入時はドル建て金額 × 購入約定時のTTSレート
となっている。申告手続きを行うに際し、売買時点で適用するTTBレート、TTSレートの把握が必要で、それを盛り込んだ「一般口座用の」譲渡損益の補助資料の作成が必要になるわけである。

申告は税理士に丸投げという投資家も多いと思う。しかし、株式投資の内容の全てを税理士に相談・報告するケースは考え難い。また、顧問契約を結んでいる税理士が「海外ETFの株式併合」の対応方法を熟知していることを期待することは難しいと考えられる。金融に対する知識・リテラシーの高さが、誤った税務申告による時間損失を防止する場合もあろう。

(本件は一般的な税務の考え方を示したものであり、具体的な税金の事柄につきましては税理士、会計士等税務専門家にご確認下さい。個別の税務に対する質問や相談には法令遵守の立場から回答を控えさせていただきます)

安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPANおカネ学株式会社代表取締役。CFP®ファイナンシャル・プランナー、元プライベート・バンカー。日米欧の銀行・証券・信託銀行に26年勤務後、独立。お客様サイドに立った助言を実践するためには高い手数料は弊害と考え、証券関連の手数料を受け取らない内閣総理大臣登録の「投資助言業」を経営。著書に『iDeCo おしえてあげる 1時間でわかる版』がある。

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