ドル円予想レンジ 111.50- - 114.80

「FRBの(利上げの)話とドルを安くする話は乖離している。トランプ新政権とFRBとの間でどういう話が煮詰まっているのかよくわからない。暫く時間がかかると思う」-。

これは2/21衆院財務金融委での麻生財務相発言だ。トランプ米大統領によるドル高是正姿勢と利上げを示唆するイエレンFRB議長のチグハグ観に戸惑う市場心理を代弁した格好となる。

FRBの早期利上げ派

2/22米紙では「Some Fed Officials Support Moving Faster to Raise Interest Rate」、2/23英経済紙は「Fed flags interest rate rise‘fairly soon’」を一面掲載。

これは米経済の継続的な成長で「かなり早く」金利を引き上げる可能性、とした一部のFRB幹部らの見解によるものだ。タカ派最右翼となったのがパウエルFRB理事の「3月利上げの可能性ある」となろうか。2/23時点、FOMC利上げ確率を示すシカゴFEDウオッチでは3/15利上げ予想派は22.1%、据え置き派は77.9%となっている。

トランプ演説はドルの行方を決するか

前出のFRB幹部らが利上げテンポ感を強めたのは、好調な米経済に足されるトランプ税制改革、インフラ投資策となろう。しかし2/23ムニューシン米財務長官の “打ち出す政策が今年の米経済に及ぼす影響は限定的”とした表明に警戒感を持つ。

2/28にトランプ大統領は上下院合同会議で政権運営の基本政策を議会や国民に訴えかける演説を行う。「over the next two or three weeks that will be phenomenal in terms of tax (2、3週間以内に税に関して、目を見張るような発表を行う)」との2/9トランプ発言から3週間以内の2/28演説は、その機会に該当することからも減税対象や規模、内容が刮目される。FRBにしてみれば金融政策を運営する上での不確定要因が取り除かれる演説だ。

各施策の規模感や効果で基調インフレ率低下が見込まれれば、米利上げテンポは下方修正、若しくは早期利上げ封印、となる可能性を孕んでいる。当然、インフレ率上方修正はその逆であり、ドルブル派が跳躍を示す局面となろう。

2/27週ドル円売買ポイント

トランプ演説では「為替操作のグランドチャンピオン」と非難した中国への強硬姿勢が円買い圧力に伝播する可能性も留意。

上値焦点は2/21-22高値113.74-79、2/16高値114.335、日足雲上限114.80、115円の節目、1/20、27高値圏115.40。下値焦点は2/9深夜の上昇起点112.30、日足雲下限111.80-113.61。最終拠点は2/6-9安値圏111.57-62-72-81、と推考。

為替相場見通し2-24

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト