佐川急便,新規上場
(写真=Takamex/Shutterstock.com)

2月20日、株式市場に「佐川急便上場か?」という大きなニュースが飛び込んできた。これを受けて、競合他社・ヤマトHDの株価が動くなど、株式市場にも少なからず影響を与えた。

佐川急便を子会社にもつSGホールディングスはその日のうちに自社ホームページにて、「上場は弊社が発表したものではない」と発表しているが、事業拡大に向けた様々な可能性を模索していると明記している上、上場の話が出るということは近いうちに佐川急便が上場株式として取引されることになるかもしれない。

佐川急便の魅力と親会社の業績、仮に株式上場したらと仮定して、IPO時のスタンスなどをご紹介していく。


佐川急便の親会社 SGホールディングスとは?

佐川急便は、爽やかな青と白の縞模様の服を着た屈強な男性が元気良く荷物を運んでくることから一時期「佐川男子」としても世の中で話題となった企業だ。

SGホールディングスは、そんな佐川急便の親会社だ。しかし、配達(デリバリー)事業のみをおこなっているわけではない。同社は核となるデリバリー事業に加えて次のような事業を行っている。

1. デリバリー事業
グループ各社連携によるリコール対応、特殊輸送などを含めた多様な宅配サービスを実施
2. ロジスティクス
佐川流通センターを活用した物流ソリューションを提供
3. 海外国際事業
アジアを中心とした世界的な国際貨物事業の推進
4. 不動産事業
同社が持つ不動産の管理・運営や再生エネルギー事業など
5. 自動車事業
車両メンテナンスなど豊富な経験を活かした自動車整備事業
6. 人材事業
同社のノウハウを駆使した人材総合アウトソーシングサービス
7. その他事業(金融など)
システム開発や代金引換サービスなど

上記のように手広く事業を展開している。同社が上場した場合、調達資金はそれぞれの事業を強化するためのM&Aなどの資金としても活用されることも予想される。

では上記のような多岐に及ぶ事業を行うSGホールディングスの業績を確認していこう。

SGホールディングスの業績

SGホールディングスはすでに2017年中間決算を発表している。第2四半期(中間)決算説明資料によると、残念ながら前年同期比では売上高が4743円から4585億円へと減収、また営業利益は283億円から234億円へと減益になっている。

セグメント別に事業成果をみると、本業のデリバリー事業が前年同期比で売上高、利益ともに微増を達成したものの不動産事業が足を引っ張る形となっている。ロジスティクス部門は、増収だが微減益、その他事業はわずかに増収増益の模様。

業績のみに着目すると不動産部門の持ちなおしと、その他伸び悩みの見られる部門の強化が業績立て直しには必要だ。

通期の業績予想については、売上高9433億円から9200億円へ、営業利益が540億円から500億円へと減収減益予想だ。

一方、同業他社のヤマトHDの通期予想を確認してみると、売上高は1兆4164億円から1兆4600億円へと増収なものの、営業利益等は6854億円から6500億円へと減益予想となっている。ただ、東洋経済による最新の予想によると減益幅は拡大する見通しで、ヤマトHDも業績に関しては厳しい状況である。

上場する際の注目のポイント おすすめのIPO投資スタンス

佐川急便の上場も未だ詳細は決まっていないものの、やや大型のIPO案件となる可能性が高い。ロイター通信によると、企業規模を示す時価総額は3000億円程度となる見通しだ。上場が決まれば、おそらくは2016年に上場したJR九州と同じように東証一部に決まる可能性も高いだろう。

通常は時価総額の大きな東証一部案件というのは上場時に公募(上場前の株価)を割り込む場合も多い。ただし、話題の企業の場合には投資家からの資金が集まり、初値を押し上げることも多々ある。

最近上場した銘柄だとJR九州が企業規模、話題性ともに似たような銘柄として上場前後の株価の動きのベンチマークとなるだろう。

大型案件の場合、複数証券会社から申し込むことで公募での取得が比較的容易である。かくいう筆者も郵政3社やJR九州のIPOではしっかりと公募を獲得し利益へとつなげた経験がある。

未だ、上場話は確実なものとはなっていないが、もし話が固まれば2017年IPO市場の話題の銘柄となるだろう。今後のSGホールディングスの動きを見守りたいところだ。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある。

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