マザーズ,破産,倒産
(写真=PIXTA)

半導体検査装置・測定装置開発のレイテックスが東京地裁より破産手続き開始決定を受けたことが分かった。帝国データバンクが2017年3月15日、速報を配信した。負債総額約110億円は今年に入って最大規模。決定日は3月8日。過去には東証マザーズにも上場していたレイテックスだが、11年1月に東証が上場廃止を決定。その後「フェニックス銘柄」に指定されたが、同年3月にはマザーズ上場廃止となっていた。

雪だるま式に膨らんだ借入

帝国データバンクによると、1988年の設立当初、産業用電機機器の販売代理や輸入を行っていたが、その後、主に、シリコンウェハー検査装置・測定装置(半導体製造工程のうち前工程で使われる)の自社開発などを行うようになった。

2004年4月に東証マザーズに上場。08年5月期の年売上高は、58億円と過去最高となっていたものの、同期の純利益は既にマイナスであった。翌09年5月期の年売上高は、17億円と激減し、同期の純損失額は1年前の10倍に膨らんだ。

ここからは崖を下り落ちるように経営は悪化の一歩をたどった。運転資金は、金融機関からの借り入れがほとんどだったが、決算上は、かろうじて債務超過を免れていた。36億円のシンジケートローン契約が、期限の利益喪失の危機に陥っており、同社が破綻状態であることは、この時期、既に明白であった。

レイテックスは2010年8月31日付けの「『債務超過の猶予期間入り』に関するお知らせ」を公表し、債務超過に陥った理由について、「実体経済の急変や半導体デバイス価格低迷の影響等により、主要なウェーハメーカー及びデバイスメーカーによる設備投資は低調に推移しておりました」としていた。この発表時は東証マザーズ上場廃止直前で、当時の債務超過額は28億円程度だった。

東証は2011年1月31日付けでレイテックス株の上場廃止を決定したが、上場廃止決定後も取引が活発であったため、日本証券業協会によって、取引所上場廃止銘柄を保有する投資家に対する換金の場および上場廃止会社の再生を援助できる「フェニックス銘柄」に指定されることが決まり、一時延期の後、2011年3月に東証マザーズ上場廃止となった。レイテックス株は、引き続きフェニックス銘柄として取引されていたものの、決算書類の開示が遅れたこと等を理由に、2014年2月28日に指定を取り消されている。

企業が決算書類を予定通りに提出できないという事態は、株式の取引停止や上場廃止、民事再生法や破産法の適用などにつながりえることが分かる。今回倒産したレイテックスも、過去に何度も決算書類の開示遅延を発表していた経緯がある。(ZUU online 編集部)