ソフトバンクの孫正義社長が米新興企業エッセンシャル・プロダクツへの1億ドルの投資計画をAppleに配慮して撤回した、と米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が報じた。

ソフトバンクはコメントしていない。孫社長はトランプ大統領との会談で、500億ドルをスタートアップ企業などに投資して米国に5万人の雇用を生みだすと約束していた。

Androidモバイル支援は挫折

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(写真=Who is Danny/Shutterstock.com)

同紙が複数の関係者の話として伝えるところによると、孫社長はAndroidを開発したアンディ・ルービン氏が率いる新興企業エッセンシャル・プロダクツ社に1億ドルを投資する計画だった。孫社長はまた、同社が今春発売する予定の高機能スマートフォンについて、日本で発売する際に支援することも約束していた。

ルービン氏は、iPhoneとの競合端末に搭載されるAndroidをスマホOSの座に押し上げる努力をしてきた。しかし同社は、テクノロジー業界でもとりわけ競争の激しいスマホ事業で、まだ製品の売り出しにこぎ着けていない。

孫社長の投資は、その可能性を見込んで計画されたというのだ。孫社長のこの投資は、米国への500億ドル投資計画の一環になりうるものだった。

一方Appleは2017年1月、ソフトバンクが新設する1000億ドルのハイテク投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」に10億ドルを出資することを約束した。Appleの広報担当、クリスティン・ユゲ氏は「当社にとって戦略上重要となり得る技術の開発が、新ファンドにより加速すると確信している」として、Appleはソフトバンクと長年協力してきたと述べた。

Appleと競合する投資は困難