BMWが初の電動スクーター「BMW C evolution(シー・エヴォリューション)」を2017年5月12日に発売する。最大の特徴は走行距離160km、最高速度129km/hというスペック。国内メーカーの電動バイクが走行距離50km未満、最高速度50km前後のものが多く差は歴然だ。
大容量バッテリーと独自のテクノロジーで走行距離を160kmに
「BMW C evolution」は欧米では2014年に発売された。販売台数は1500台ほどだが、スペインでは警察のバイクにも採用されている。日本上陸のバージョンは、旧型を大幅に進化させたものだ。
電動スクーターなどの最大の課題は走行距離をいかに伸ばすかだ。そのためには、バッテリー容量を大きくする必要がある。「BMW C evolution」に搭載されている大容量空冷リチウムイオン高電圧バッテリーは94アンペア(Ah)あり、電気自動車の「BMW i3」で採用されたテクノロジーにより160kmまでの走行を可能にした。
充電はEV充電スタンドまたは普通充電用200Vコンセントを使用し、3.5時間で80%までできるようになった。国産スクーターのバッテリー容量は20Ah以下のものが多く、「BMW C evolution」に搭載されているバッテリーがいかに大容量か分かる。
最高速度128kmは高速道路でも余裕の走りを実現
最大出力、最大トルクはBMWの最新スクーター「C650スポーツ」(最大出力44kW、最大トルク63Nm、無鉛プレミアムガソリン使用)に比べて最大出力で少し劣り、最大トルクでは勝っている。数値的にはほぼ同様の走行性能があり、軽快な走りが期待できそうだ。
外観は「C650スポーツ」などのBMWマキシスクーターを踏襲したものだが、重心を低く設定してあり、ハンドル操作は快適そうだ。ブレーキシステムにはABSを標準装備している。
希望小売価格は消費税税込み148万7500円。ちなみにガソリン使用のBMWスクーター「C650スポーツ」が114万5000円(消費税税込)、700ccのBMWバイク「F700GS」(ガソリン仕様)が125万000円(消費税税込)だ。
国内メーカーの電動スクーターは、電動自転車の延長線上にあるような小型町乗りタイプがほとんどだ。大型のタイプはサイズ的には「BMW C evolution」よりひとまわり小さいが、アクセス(山梨県甲府市)が受注生産する「ラング EX」と「AC-Cruise(エーシークルーズ)」がある。「ラング EX」最高速度は85km/h、走行距離は90km、価格55万9400円(税込)。「AC-Cruise」は最高速度85km/h、走行距離120km、価格53万7800円。
日本の大手メーカーは、大型電動スクーターにあまり興味を示していないようだ。しかし、バッテリーで走行しCO2の排出がない電動スクーターは、今後大きく普及する可能性のある乗り物だ。走行距離をいかに伸ばしていくかという大きな課題はあるが、BMWの日本上陸を契機に注目度が高まるかもしれない。(ZUU online 編集部)