大統領が収賄などの疑いで逮捕されるという驚がくの事態に陥っている韓国。過去にも大統領経験者は不遇の晩年を迎えているが、近くて遠いこの隣国について日本人は知っているようで知らない。韓国在住の筆者に、韓国を知るための書籍を紹介してもらった。

韓国,書籍
(画像=Webサイトより)

1970年代から韓国を見続けたウオッチャーの第一人者

『決定版どうしても“日本離れ”できない韓国』
(黒田勝弘著、文春新書、777円)
『韓国はどこへ?』
(黒田勝弘著、海竜社、1500円)

韓国を知る本といえば、なんといっても黒田勝弘氏の著書だろう。黒田氏は1971年から共同通信の記者として幾度か韓国を訪れ、延世大学語学堂で韓国語を学んだ後、共同通信ソウル支局長としてソウルに赴任。産経新聞に移籍し、1989年から2011年まで産経新聞のソウル支局長を務めた。定年後も客員論説委員として日本と韓国を行き来している。1970年代から日本人の視点で韓国を見て来たコリアウオッチャーの第一人者である。

「決定版どうしても“日本離れ”できない韓国」は、盧武鉉政権時代の2006年に刊行された「“日本離れ”できない韓国」のリニューアル本で、韓国人が「日本」を過剰に意識し、「日本離れ」をしようとするほど、日本に呪縛されている様を描いている。日本の話題がでると条件反射的に反応する「反日パブロフの犬」と批判。産経新聞支局長刑告訴と出国禁止事件、アメリカ大使襲撃事件と安重根崇拝熱、朴槿恵政権の中国への急接近などを加え、韓国人の民族意識と精神構造に迫る1冊である。

『韓国はどこへ?』は歴史や市民生活に根差した分析や大陸志向を強める朴槿恵政権と市民の台頭など、昨今の韓国情勢をとらえた黒田氏の最新刊である。日本が韓国とどう接するべきか黒田氏の視点で書かれている。

黒田氏は在韓日本人を対象に講演を行っている。長い韓国生活で韓国人の友人も多く、韓国が世界で信頼される国になるにはどうしたら良いか韓国への愛情をもって、問題点を指摘する。講演では韓国への批判のみでなく、日本の韓国への対応についても歯に衣着せぬ批評を行い、風貌からは想像できない辛口の批評は聞いていてタメになる。

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