韓国ソウルの蚕室(チャムシル)に4月3日、高さ555メートル、123階建てのロッテワールドタワーがオープンした。総工費4兆2000億ウォン(約4200億円)、ドバイのブルジュ・カリファ(828メートル)、中国の上海タワー(632メートル)などに次ぐ世界で5番目に高いビルである。
ロッテは、常時2万人の雇用と年約10兆ウォン(約1兆円)の経済効果があると予想。ソウル市も年1兆ウォン(約1000億円)の付加価値誘発と10兆ウォンの経済効果があり、観光収入だけで年間8000億ウォンに達すると分析している。
事故が相次いだ建設工事
ロッテワールドタワーは117階から123階は展望台やカフェで76~101階はホテル、1~12階は免税店やショッピングモールなど。14階~38階と108階~114階はオフィスが入り、42~71階は分譲住宅となっている。
グランドオープンに先立つ2017年3月22日に予定されていた展望台のオープンは4月3日に延期された。2017年3月10日、役職員や家族にお披露目をする予定だったが、地下1・2階と展望台を結ぶエレベーターが招待客39人を乗せた状態で突然停止。安全再点検の必要に迫られたのだ。
ロッテワールドタワーの建設はトラブルの連続だった。2000年05月に36階建で基礎工事に着手後、123階建の建築許可を得て2011年06月に着工。当初のオープン予定は2014年5月だったが、2012年10月にはビルを支えるメガ柱に亀裂が見つかった。2013年6月には作業員1人が転落死し、負傷者も出ている。
2014年、ソウル市内で道路が陥没する事故が相次いだ。建設地周辺でも陥没が起こり、専門家はタワーの建設工事に起因すると指摘した。2014年9月から、すでに完成していた商業施設がオープンしたが、12月9日に水族館で漏水があり、16日には映画館で数回にわたり騒音と振動が発生、観客の通報で消防隊員が駆けつける騒ぎになった。ソウル市から水族館と映画館の営業停止命令が出され、工事の中止命令も出された。安全性への不安から客足が遠のき、撤収する店も出始めた。施工したロッテ建設は現場管理が不十分としてソウル地検から起訴されている。