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中国・韓国
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高まる財閥改革への期待

窮地の「サムスン」業績好調 追い込まれたかに見えたが、なぜ?

韓国サムスン電子の株価上昇トレンドが続いている。2016年には「Galaxy Note(ギャラクシー ノート)7」の発火事故を受けてリコール対応に追われ、世界的なブランドイメージは深く傷ついた。

失意のサムスンに、さらなる仕打ちとして襲いかかったのが、韓国の前大統領だった朴槿恵容疑者に賄賂を贈ったとして、同社の李在鎔副社長が贈賄罪の容疑にかけられ、逮捕・起訴されたことだ。経営をも大きく揺るがしかねない騒動の渦中にあるサムスンだが、その株価はこの1年で約60%も上昇した。窮地に追い込まれたかに見えたサムスンの株価を支えるものは一体何だろうか。

スマホ苦戦も半導体需要が下支え

サムスン,株価好調
(写真=JPstock/Shutterstock.com)

韓国の政財界スキャンダルは、日本国内でも大きく取り上げられ、連日サムスンはメディアを賑わせる格好となった。韓国の最大財閥と政権との癒着に大きな注目が集まったが、その裏では、業績は好調に推移し、ノート7の不祥事から経営を立て直しつつある。

2017年第1四半期(1月‐3月)の暫定集計によると、連結売上高は50兆ウォン(約4兆7700億円)、連結営業利益は9兆9000億ウォン(約9500億円)となった。売上高は前年同期比とほぼ同水準だったが、営業利益については、前年同期から48%増と大幅な伸びを記録。ノート7の発火事故問題を受けて、自社のスマートフォンは立て直しにはまだ時間を要するものの、他社のスマホ向けの半導体メモリーの売上が好調に推移したほか、DRAMやNANDなどの半導体メモリー需給の逼迫から、単価が上昇していることも業績を下支えした。

さらに、為替レートも追い風となった。17年初は1ドル=1200ウォンの水準で推移し昨年よりもウォン安が進行、価格競争力を高めた。

さらに、北朝鮮をめぐり、アメリカのトランプ大統領が北朝鮮への武力攻撃の可能性に言及するなど、朝鮮半島の地政学リスクが高まっており、ウォン安に拍車がかかりやすい状況だ。朝鮮半島で軍事力行使が現実となれば、サムスンへの影響も避けられないが、緊張だけが高まる状況では、ウォン安などが好材料となりうるだろう。

財閥改革への期待感の現れ?

韓国経済は、サムスン電子をはじめ、現代自動車、SK、LG、ロッテの5大財閥がけん引してきた。1950年代の朝鮮戦争後によって荒廃した韓国だったが、60年代以降に財閥が中心となって経済成長を果たし、先進国に仲間入りした。

世界銀行によると、韓国のGDPは1兆3800億ドル(2015)で、同年のサムスンの売上高は200兆6500億ウォンに上り、便宜上1ドル=1000ウォンで計算すると、実にGDPの約20%をサムスンだけでたたき出していることになる。韓国経済は財閥への依存度が高いが、その財閥企業は家族経営で弊害も目立つようになっており、韓国経済全体へのマイナスの影響もたびたび指摘されてきた。

今回の李副社長の逮捕・起訴を受けて、最大派閥であるサムスンと政権トップの大統領の癒着が明るみに出たことで、これまでメスを入れられなかった、韓国経済を牛耳る財閥の改革に政府が本腰を入れて取り組むのではないかとの期待も高まっている。

サムスンでは経営効率を上げるため、持ち株会社化も議論されてきたが、その移行にはハードルが高いとして実現の可能性は低いとしている。

サムスンの事実上の経営トップだった李副社長が逮捕された2月中旬、同社の株価は前日終値より値を下げたが小幅にとどまり、3月に入ってからは200万ウォンの大台を突破してからも上昇を続けている。

この値動きからも、投資家が事実上の経営トップが指揮をとれないことへのマイナスの影響より、財閥の改革への期待にかけているともいえるだろう。さらに、ライバルともなる企業のもたつきもサムスンにとっては幸運だった。原子力事業で巨額の損失を計上し、経営危機に揺れる東芝 <6502> は、半導体DRAMやNANDでサムスンを追いかけるライバルだったが、半導体メモリー事業の分社化を決定し、出資先を募る対応などに追われている。

半導体事業で好調さを維持するサムスンは、スマホの新モデル「ギャラクシーS8」を発表。前モデルは、発火事故で経営にも影響を与える事態にもつながったため、新モデルにはスマホ事業での名誉挽回がかかる。スマホの販売も回復してくれば、下支え材料として株価の上昇にも一層期待がかかる。

李副会長の逮捕という衝撃に見舞われたサムスンだが、足元の好調な半導体事業と朝鮮半島の地政学リスクによるウォン安、事件を契機に高まる財閥改革への期待が高まり、サムスンの株価からは目が離せない展開が続いていくだろう。(ZUU online 編集部)

※訂正とお詫び
「1ドル1200ウォンから1100ウォンにウォン安が進行した」との記述に誤りがありました。関係者の皆様にはご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

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