米Apple社のティム・クックCEOが、先進的な製造業の雇用を創設する目的で10億ドル(約1120億円)のファンドを組成すると発表した。国内の投資と雇用創出を促すトランプ大統領に配慮したものとみられる。

クックCEOは投資先を明らかにしなかったが、5月末までに最初の投資先を公表すると語った。同CEOは「製造業は周辺にサービス業を生み出すため、製造業の雇用はさらなる雇用を創出する」との見方を示した。これらはCNBCとのインタビューで明らかにしたもの。

国内生産と雇用創出を求めるトランプ氏

Apple,ファンド
(写真=Laura Hutton/Shutterstock.com )

トランプ氏は大統領選挙中から、国内製造業の復活を公約して、海外の製造施設に生産を委託する米企業を批判してきた。特に(Appleなど)ITグローバル企業に対しては、国内での生産と雇用創出を求めている。トランプ氏は他方、企業の投資を促すため、連邦法人税率を35%から15%に引き下げる方針を明らかにしている。

Appleはほとんどの製品を台湾など、アジアで製造している。クックCEOは、同社製品製造を米国に移転する可能性には触れなかった。同社は国内ですでに、部品調達やソフトウエア開発など、200万以上の雇用を生み出している。

同CEOは、巨額の経済を生み出すiPhoneなどの製品に関連する、先端的な製造テクノロジーの成長をサポートすることで、雇用にもつながる可能性を示唆した。Appleの最大の製造委託先である台湾の鴻海精密工業はすでに、先進的な製造施設となる70億ドルのディスプレー製造工場建設を計画している。

「Appleはトランプ氏に譲歩」NYタイムズ紙