文在寅(ムン・ジェイン)氏が韓国の第19代大統領に就任した。争点のない選挙戦を勝ち抜いた文新大統領の就任で新たに与党となった革新中道系の「共に民主党」は、国会議席数が2017年4月時点で119議席(総数299議席)で過半数に満たない。

ほかは中道系の国民の党40議席、保守系の自由韓国党(旧セヌリ党)94議席、正しい政党32議席、諸派無所属14議席、欠員1。このため中道系の国民の党か、「正しい政党」(朴槿恵前大統領のスキャンダルで旧セヌリ党を離党した議員が結成)の同意を得てやっと過半数に達する。国会の承認が必要な首相に相当する国務総理の任命など、厳しい運営が予想される。

対米、対中など外交でも課題は山積

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(写真=Sagase48/Shutterstock.com )

朴槿恵前大統領のスキャンダルで韓国の国政が停滞していた間に就任したトランプ米大統領は、米韓FTAの見直しを主張する。日韓関係も釜山の慰安婦像を巡って摩擦が続いている。日本政府は文在寅新大統領が選挙戦で訴えてきた慰安婦を巡る日韓合意の再交渉には応じない方針だ。

中国はTHAAD問題がある。中国が強く反対する在韓米軍のTHAAD(高高度防御ミサイル)は配備を終え、2017年5月2日には稼働できる状態になった。選挙前にTHAAD配備を白紙に戻すと公言していた文文在寅氏は容認に主張を変えている。

北朝鮮との関係も揺れ動いている。2016年2月に閉鎖された開城(ケソン)工業団地の再稼働や2008年7月以降中断されている金剛山(クムガンサン)観光の再開など南北関係の修復を掲げていたが、北朝鮮の非核化を前提とするなど条件付き南北対話に退いている。

内政は、文在寅氏は選挙中の公約で1万2000人の公務員採用など81万人の公共雇用を掲げ、財源として大企業や高所得者への増税案を提示していたが、大企業への増税が労働者へのしわ寄せになりかねない懸念がある。

新政権と韓国総合株価指数KOSPIの関係性

ケープ投資証券によると、大統領就任1~2年目は株価が高止まりする傾向が見られるという。第13代から第18代まで6人の大統領の任期を分析したところ、1~2年目は米国の基準金利引き上げ時期と重なるケースなど外的要因もあるが、新政権発足で景気浮揚への期待から株価が上昇している。

KB証券の分析でも、1988年以降、経済成長に対する政府の寄与は政権2年目が最も高く、後半に進むほど成長寄与度が落ちる傾向が見られるという。就任後1年間の平均株価上昇率は23.18%で、2年目には26.18%とさらに高くなっているが、3年目には1.7%、4年目には0.78%と下落し、5年目に0.97%上がっている。

直接選挙で選ばれる韓国大統領は、政治手腕より時の流れで選ばれることが多い。朴槿恵前大統領の罷免を求める「ろうそく集会」の勢いを背に新たに就任した文在寅新大統領の前途は多難だ。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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