北朝鮮の核開発をめぐり、ドイツが新たな経済制裁を予定していることが、独メディアや複数の独政府当局の声明から判明した。北朝鮮大使館がベルリンに所有する施設の貸し出しを禁ずることで、「核開発の資金源を枯渇させる」意図があるようだ。

独政府は北朝鮮の資金源を封じこめる戦略

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

北朝鮮による度重なる核ミサイル発射実験で、急激に緊迫感を増した軍事情勢。開発を妨害する目的で主要国が経済制裁を繰り返してきたが、活動が鈍るどころか脅威は拡大するばかりだ。

ドイツ政府は5月に入り、国連決議およびEUの規則に従い、北朝鮮への経済政策を強化する意向を示した 。「国連安全保障理事会の制裁決議違反」という名目のもと、北朝鮮によるベルリンの宿泊施設の営業禁止に踏みきる。

北朝鮮大使館は東西ドイツ統合(1990年)以前、東ドイツと外交関係を結んでいたことから、大使館を含む複数の不動産を所有していた。統合後、大使館は業務を継続しているが、「2つは格安ホテルや会議センターに改装され、北朝鮮大使館の収入源になっている」と、独メディアは報じている。

ドイツ政府は北朝鮮を何とか交渉の場に引きずりだす手段として、この資金源を封じる構えだ。

米国が中国に仲介役を任すのは見こみ違い?

一方米国は中国をとおし、「核実験を放棄する」という条件のもと、武力行使を用いない方針を北朝鮮に提示したことが、外交筋から判明している。

中国側は米国に、北朝鮮への経済援助なども提案したと報じられているが、「交渉の仲介役を中国に依存するのは正しい判断ではない」 との懸念も上がっているようだ。

中国は北朝鮮が外貨を得る手段である石炭の輸入を、年間4億ドルまでに制限する制裁措置をとっているものの、米国側は「核開発をやめさせる制裁としては不十分」と見なし、さらに強い制裁措置を要求されている。

トランプ大統領は仲介役の見返りとして、中国に貿易面での便宜を図る素振りを見せるなど、米・中・北朝鮮の三角構造を築くことで、武力行使の回避を試みようとしているようだ。

中国外務省「北朝鮮の経済を崩壊させるレベルの制裁には加担しない」

しかし中国・北朝鮮間の長年にわたる経済的支援関係は現在も継続しており、中国が表向きは「石炭輸入を半分にまで減らした」と公表する一方で、今年第1四半期の中国、北朝鮮間の貿易が37.4%(前年同期比)増えていることなどが、ニューヨーク・タイムズ紙 に報じられている。鉄の対北朝鮮輸入総額は、1月から2月にかけて270%の増加だ。

鉱物資源貿易を制限するという条約どおり、2月以降石炭は輸入していないものの、一部のエコノミストによる「水面下で取引を続けているのではないか」という疑惑もある。

現実的に見て、国連決議で禁じられていない通常の貿易を規制することは困難だ。中国外務省は度重なる経済制裁という発想自体に反対であるうえに、「北朝鮮の経済を崩壊させるレベルの制裁に加担する気はない」点を、強調している。

今回のドイツの動きは、北朝鮮に対する欧州のスタンスをより明確にした。中国のような現行のしがらみがない分、強硬な手段に出やすいものと思われる。

北朝鮮当局と米外交政策専門家による非公式の会合は、英エクスプレス紙 が「関係者筋から入手した情報」として報じたもので、事実だと仮定した場合、両国が何らかの妥協点を見出す方向性を探りあっているとも考えられる。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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