ドナルド・トランプ米大統領の当選に大きな役割を果たし、トランプ政権の政策に好意的な報道で政権維持に一役買っているとされる保守派寄りの新興オンラインメディア「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」。アレクサ・インターネットの発表では、3月末現在で全米47位にランクインするなど、非常に影響力が大きい。

米国民がリベラル対保守、エリート対非エリート、白人対非白人、持つ者対持たざる者などの対立軸で分裂傾向を強めるなか、「右派・白人・非エリート・持たざる者」などの先鋭化した立ち位置で親トランプ報道や論評を行っている。政治的な対極にある米リベラル派高級紙『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ブライトバートを評して「人種差別的・反移民・女性嫌悪が特徴」とこき下ろしているほどだ。

台頭した背景とは

トランプ,メディア
(画像=Webサイトより)

2007年にスタートしたばかりのブライトバートが台頭した背景には、二極化する米国の構造的な社会格差・経済格差を起こした「機能しない政治」の崩壊が横たわっている。さらに米メディアの全体的な質の低下、公器としての中立性の放棄や、「既存秩序の破壊者」たるインターネット台頭によるメディアの産業的凋落が、同サイトなどの極端な主張が好まれる下地を作っている。

ブライトバートは時代を映し出す、今の米社会の鏡なのだ。ブライトバートはそうした社会分断や不安増大の落とし子として生まれ、自分を生んだ社会分裂をさらに煽る主導者へと成長している。

大統領選で示した存在感