東京株式市場では、日経平均株価が20,000円を手前にして一進一退の展開になっています。我が国の景気・企業業績は堅調とみられますが、米国政治に対する不安や、根強い円高圧力が上値を抑えているとの印象です。

もっとも、株価が一進一退の状態になっていることは、配当や株主優待の権利を確保し、中長期的なスタンスで株式を保有しようとしている投資家にとっては、投資チャンスの到来になっているのかもしれません。少なくとも、株価急騰で「高値づかみ」になるリスクが抑えられるという側面はあると思われます。そこで今回の「日本株投資戦略」では、6月に権利が確定する株主優待銘柄のうち、投資家の関心が強いとみられる銘柄について、その上位銘柄をご紹介することとしました。配当の状況とともに、株主優待の内容をチェックしたいと思います。

5月に権利が確定する銘柄のほとんどが5/26(金)を権利付最終日としています。したがって、5/29(月)以降は、株主優待に着目している投資家の関心も「6月優待銘柄」にシフトしてくる可能性があり、該当銘柄はその分、株価が上昇しやすくなる時期を迎えると考えられます。「6月優待銘柄」については、今からチェックしておいた方が良いと思います。

投資家の関心が強い「6月株主優待銘柄」はコレ!?

投資家の関心が強い株主優待銘柄とはどのような銘柄でしょうか。その点については、SBI証券のWebページでヒントをつかむことができます。ログイン後、国内株式のページにある銘柄検索窓の直下に「株主優待」がありますので、そこをクリックしていただくと「株主優待検索」のページに移動します。

何も条件を指定していない状態では極洋 <1301> を筆頭に、株主優待制度を採用している1,369銘柄(5/25現在)がコード番号順に一覧になって表示されています。そして先頭の銘柄の上に「並べ替え」という表示がありますが、この中の「閲覧回数順」をクリックし、表示が「閲覧回数順▼」に変われば、上から表示されている順に閲覧回数が多い銘柄ということになります。5/25(木)現在ではタマホーム <1419> 、サカタのタネ <1377> が1,369銘柄のうちで、株主優待について投資家の関心が強いとみられる上位第1位・2位とみなすことができます。

なお、銘柄が一覧表示されている部分の左隣に「優待内容」、「優待権利確定月」、「つなぎ売り」等の表示があります。これらは、株主優待実施企業を様々な条件で絞り込む機能をもっています。今回の「日本株投資戦略」では、その中から「優待権利確定月」による絞り込みを使い、6月に権利確定となる107銘柄の中から、その閲覧回数上位企業の20銘柄を取り出し、ご紹介しています。

表1は6月に権利が確定する株主優待実施銘柄で、投資家の閲覧回数が多い上位の20銘柄となっています。権利付最終日はゲンキー <2772> とキングジム <7962> (権利付最終日は6/15)を除く全銘柄が6/27(火)ですので、これらの銘柄の配当や株主優待の権利を確保したい投資家はこの日までに保有しておく必要があります。

最近の株主優待ではクオカードを中心とする金券を提供している企業が多く、全実施企業の4割強がそれに該当します。金券は原則、全国数多くの小売・外食店等で使用でき、投資家にとっての利便性が高く、それを意識して、金券の提供を実施する企業が多いと考えられます。ただ、優待実施企業の業務内容を理解してもらうという、株主優待のもうひとつの目的を果たすことは、この方法では難しい面もあります。

こうした中、「6月優待銘柄」の閲覧回数上位銘柄の多くは、自社製品・サービスの利用につながる「食料・飲食券」等の提供が多いのが特徴のように思われます。すかいらーく <3197> や日本マクドナルドホールディングス <2702> など、全国に数多く店舗があり、投資家にとっての利便性も高い外食店が上位となっています。

なお、権利付最終日である6/27(火)まで残り約1ヵ月あるため、順位が変動してくる可能性もありますので、その点にはご注意ください。

6月に権利が確定する株主優待実施銘柄で、投資家の閲覧回数が多い上位の20銘柄1

投資家の関心が強い「6月株主優待銘柄」の投資ポイントは?

ここでは、表1にご紹介した銘柄の一部について投資ポイントをご紹介したいと思います。

図1:すかいらーく(3197)・日足チャート
図1:すかいらーく(3197)・日足チャート

すかいらーく <3197> はグループで3千店舗以上を展開する外食チェーンです。優待食事券が3,000円分と手厚い上、予想配当利回りも2.3%(5/24現在)あり、投資家に強い関心を持たれています。株価的には図1にあるように、ダブル・トップに近い形になっており、投資タイミングには注意が必要そうです。

図2:ゲンキー(2772)・日足チャート
図2:ゲンキー(2772)・日足チャート

知名度が高く全国展開している外食チェーンとしては他に、日本マクドナルドホールディングス <2702> も投資家から強い関心を持たれているようです。100株の保有で、1冊にバーガー類、サイドメニュー、飲物、3種類の商品の無料引換券が1枚になったシート6枚がもらえます。ただ、業績回復傾向を受けて株価が急騰していますので、やはり投資タイミングには注意したい所です。同様に「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」で知られるロイヤルホールディングス <8179> も最近の株価上昇率が大きくなっています。

投資家によって株主優待内容の魅力度が異なって感じられる銘柄としては、例えば、IBJ <6071> の株主優待があげられます。100株の保有で「PARTY☆PARTY運営の婚活パーティー無料ご招待券(4,000円相当) 1回分」が提供されます。婚活中の投資家には魅力的なサービスですが、既婚の投資家は関心を持ちにくいと考えられます。

図3:日本たばこ産業(2914)・週足チャート
図3:日本たばこ産業(2914)・週足チャート

またゲンキー <2772> の株主優待は、(1)自社健康サプリメント2箱セット(6,000円相当)、(2)自社化粧品2点セット(6,000円相当)、(3)カタログギフト(3,000円分)、(4)福井県産コシヒカリ5㎏、の4つから1つを選択する形になっており、「健康」や「サプリメント」に関心のある投資家には魅力的な内容になっています。なお、この銘柄は権利付最終日が6/15(木)になっていますので、ご注意ください。

なお、予想配当利回りの高さが魅力的で、その分株主優待がプラス・アルファ的な存在に感じられる銘柄としては岡部 <5959> や、日本たばこ産業 <2914> があげられます。このうち後者は加熱式たばこのニュースもあり株価が高騰しています。同社はロシア・欧州を中心に海外売上高比率が約6割と高い銘柄で、食品業界では時価総額トップになっています。

なお、投資家の関心度が高い反面、株主優待の権利確保に条件がある銘柄等もあります。株主優待の詳細については、各企業のWebページ等で確認することをお勧めします。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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