JR名古屋駅に4月に全面開業した「JRゲートタワー」に出店予定だったヨドバシカメラが、建設遅れで出店を断念したことを理由に、JR東海子会社に違約金などを求めて争った訴訟で、名古屋地裁(加島滋人裁判長)は5月30日、原告の請求を棄却した。

家電量販店大手のヨドバシカメラは、違約金など約16億6000万円の支払いを求めていた。桃崎裁判長は「完成時期を正確に予測することは困難だった」と指摘。「契約書でも『予定』という文言が使われ、時期に関する合意はなかった」と結論付けて、請求を退けた 。

完工1年遅れ理由に出店解約、16億円余りの違約金請求訴訟

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(画像=Webサイトより)

訴状や報道によると、ヨドバシカメラは2013年1月、JR東海の子会社「ジェイアールセントラルビル」(名古屋市)との間で、ゲートタワーの一部スペースを賃貸借する予約契約を結んだ。当時、開業予定は16年春とされていたが、工事の遅れによって開業が約1年遅れることが判明。ヨドバシは開業遅れによって、時限的な減税措置などを受ける出店計画に重大な影響を及ぼすとして、15年3月に予約契約の解除を通知した。

ヨドバシはさらに、遅延の原因はジェイアール側の事前調査や建設計画の不備だったとして、同年5月に提訴。予約金として振り込んだ約8億3000万円の返還および同額の違約金の支払いを求めていた。ジェイアール側は請求棄却を求め全面的に争っていた。ヨドバシが進出を断念した後、そのスペースには同業のビックカメラが出店。ヨドバシは同年10月、名古屋・栄の松坂屋に出店した。

地上46階建てに高島屋やホテルなど進出