愛知県が、スタジオジブリと協力して同県長久手市にある愛称モリコロパークで知られる愛・地球博記念公園に「ジブリパーク」(仮称)を整備すると発表した。2020年代初頭のオープンを目指し、宮崎駿監督のアニメ映画「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」などに登場する世界観を再現する。

大村秀明知事は「ジブリの世界は万博の理念の継承になる」と,建設の意義を説明した。事業主体は県とジブリが協議し、企業の参画も募るが、事業規模や運営方法などは「今後詰める」としている。約200ヘクタールの園内に残る森などには手を付けず、パビリオン跡地などを活用して順次整備する。

子どもから大人まで楽しめるファンタスティックな世界

ジブリ,地域振興
東京・三鷹の森ジブリ美術館(写真=maodoltee/Shutterstock.com)

地元紙の報道によれば、大村知事は会見で、「子どもから大人まで楽しめるファンタジーな世界」「人、生き物、地球に対する愛をテーマにした愛知万博とジブリ作品の理念は一致している」「ジブリはクールジャパンそのもの。世界に通用する日本初のコンテンツを、世界に発信したい」などと抱負を述べたという。

2005年に開幕した愛・地球博では、アニメ映画「となりのトトロ」の舞台となった昭和30年代の「サツキとメイの家」が映画そのままに登場して人気を博した。県は万博協会から無償譲渡され、06年7月から再公開。08年には「ジブリ展」、15年には「ジブリ大博覧会」を開催して、その精神を引き継いできた。今回はその集大成となる大規模なアニメ世界の再現である。

森林の伐採など新たな開発はしない方針で、事業主体については今後、県とジブリで協議する。全体構想や事業費なども今後詰め、企業などの幅広い参画を募る。県は数年前から協力を打診し、5月31日に最終的に大村知事とアニメ制作会社スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが合意した。

ネットでも反響、100%の期待で盛り上がる

整備構想によると、園内の一部に映画「となりのトトロ」で描かれた世界観を再現した「トトロのふるさと村」を建設する。200ヘクタールもの公園緑地・森林を生かして、ジブリ作品の世界を思う存分楽しんでもらう。万博で人気を集め、そのまま保存されてきた「サツキとメイの家」には、昨年度もなお10万人余りが訪れている。大村知事は「環境をテーマにした愛知万博の理念とジブリ作品はシンクロだ」と述べ、ジブリ担当者は「現地の緑を生かし、ジブリ作品の理念につながるようなパークになれば」と話している。

ジブリパーク整備のニュースに接して、ネットでは早くも大反響。「真ん中にカリオストロ城建てる訳にはいかないのか……」「トトロの世界を再現するならラピュタとハウルの動く城を建造しろ」「ジブリパーク、門はもちろん千と千尋のあれだよな」「ジブリ飯が食べたい」と盛り上がっている。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)