国交省が、過去に重大事故を起こした悪質な貸切バス事業者に対して、年1回以上の監査を行うと通達した。貸切バス事業者に対する監査の実効性を向上するための通達改正である。

通達で改正されるのは、「一般貸切旅客自動車運送事業の監査方針について(自動車局長通達)」の一部。国の監査・審査体制を見直し、過去に重大な事故を引き起こした事業者、重大な事故に結びつく法令違反が疑われる事業者を、監視リスト化する。そのような事業者に対しては、国の監査対象事業者として位置付けて、重点的に地方運輸局が年に1回以上の監査を実施する。実施は今秋から。

事業許可の取り消しも視野に

法改正
(写真=PIXTA)

通達は2016年1月の軽井沢スキーバス事故を受けて取りまとめられた「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」を踏まえて、「一般貸切旅客自動車運送事業の監査方針について(自動車局長通達)」(17年1月16日施行)を一部改正して、貸切バス事業者の中でも継続的な監視が必要な事業者に特に対象を絞っている。

軽井沢スキーバス事故の事業者は、事故前に監査による処分を受けていたが、運行管理態勢の是正に結びつかなかった。今回の通達改正は、その反省に基づくもので、特に悪質な事業者の事業許可の取り消しも辞さない姿勢を示すものである。

監視リストの対象とならない事業者については、すでにこの春から一般貸切旅客自動車運送適正化機関の指定が始まっている。適性化機関が巡回指導を行い、その中で貸切事業者への法令順守の確認を行っている状況である。

国交省のさまざまな罰則、処分強化の一環

国交省は軽井沢スキーバス事故以来、さまざまな対策を具体化している。例えば、16年7月1日からは、大きな人身事故を起こしたり、悪質な違反をしたりした場合、事業者の事業取消処分を行う。同年12月からは、街頭監査や一般監査で改善が見られない場合は、速やかに特別監査を実施する。さらに事業許可の更新制導入や法人の罰則重科(100万円以下から1億円以下に)、経営者・運行管理者が安全命令違反を現行「100万円以下」から「1年以内の懲役または150万円の罰金」など、矢継ぎ早に処分強化しつつある。

今回の改正と相まって、事業者にとって監査後の行政処分は重くのしかかるだろう。処分は法令違反の重大さによって違うが、バスの運行停止日数は変わらないが、配置台数の80%(5台のうち4台)が使用停止になるという厳しい処分はすぐにでも科せられる可能性がある。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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