「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏や、「投資の神様」ピーター・リンチ氏と肩を並べ、「三大投資家」 に選ばれるほどの米著名投資家、ビル・ミラー氏が、AppleやAmazon、ビットコインなどに積極的に投資している。
バリュー株への投資でキャリアを築いたミラー氏ならではの物怖じしない投資スタイルに、現代の投資家が刺激される点は多いだろう。
15年連続でS&P500種を上回った「伝説の投資家」
日本では馴染みが薄いミラー氏だが、欧米では米大手資産運用会社、レッグ・メイソン・キャピタル・マネージメントの元チーフ・インベストメント・オフィサー として広く知られている。
1991年から2005年にかけて15年連続でS&P500種を上回った快挙 から、「伝説の投資家」の異名を得た。
2008年の経済危機の際、過剰に所有していた金融株が致命傷となり、世間は一斉に輝かしい業績を「過去のもの」と見なすようになる。
その後徐々に回復の兆しを見せるものの、2016年には30年以上在職したレッグ・メイソンを退職。自ら積極運用型投資信託「ミラー・オポチュニティー・トラスト(LMOPX)」 を立ち上げ、新たなキャリアに踏み出した。
Amazonの跳躍を繰り返し予言 ベゾスCEOを絶賛
LMOPXは2017年に入り、S&P500の7.8%というリターンをはるかに上回る13.9%を叩き出すなど好調だ(モーニング・スター調査)。ミラー氏がお得意のバリュー株への投資手法を用い、100ドル(約1万1107円)を切った時点で積み増したApple株 は、6月に155.37ドル(約1万7256円)まで上昇した(ナスダック調査)。
最近まで「よく分からない」という理由でテクノロジー株には手をつけなかったバフェット氏とは異なり、ミラー氏は早い時期からテクノロジー株への投資にも積極的だった。LMOPXの主要4大株であるAmazonの跳躍 についても、繰り返し予言して来た。
ジェフ・ベゾスCEOを「世界で最も偉大な資本配分者の一人」と絶賛し、世間を騒がせているWhole Foods買収劇 が株価をさらに押し上げると確信している。
2014年から「真のイノベーション」ビットコインにも投資
ミラー氏が注目しているデジタル資産が、2014年から投資しているビット コインだ。当時バフェット氏が懐疑心から投資家に警告を発していたビットコインを、「バフェット氏の意見には賛成できない」 とし、躊躇することなく投資を続けて来た。
興味深い発言の中に、「近年、金では(換金しない限り)何も買い物出来ないが、ビットコインなら買い物出来る」 というものがある。仮想通貨の未来を見事に予想した、従来の伝統にとらわれないミラー氏の投資スタイルを反映している。
ミラー氏は「ビットコインが真のイノベーションであることは、疑う余地がない」とし、今後も積極的に仮想通貨への投資を続けて行く意向だ。
2016年に大暴落したカナダの製薬会社、バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルの株価に関しても、「2018年には50%上昇し、3年から5年以内には60ドル(約6664円)にまで持ち直す」 とポジティブに受けとめている。30ドル台から10ドル(約3334円から1111円)を切るまで値下がりしたバリアントの株価だが、6月16日現在は12.66ドル(約1407円)まで持ち直している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)