「従業員からの支持率が高い米CEOランキング」が発表され、スペースXのマスクCEOやFacebookのザッカーバーグCEOがトップ10に選ばれた。

このランキングは米キャリアサイト「グラスドア」 が、2016年5月から2017年5月の間に寄せられた従業員によるCEOの評価に基づいて作成した。従業員が匿名で評価している点が、類似ランキングと決定的に異なる。

「最も評価されているCEOトップ20」と昨年の順位

20位 ジョン・レジュール(米Tモバイル) 12位
19位 シャンタヌ・ナラヤン(Adobe)20位
18位 オスカー・ミュノツ(ユナイテッド航空)N/A
17位 サンダー・ピチャイ(Google)7位
16位 チャールズ・バット(HEB)19位
15位 マーク・ベニオフ(セールス・フォース・ドットコム)6位
14位 コーリー・シラー、アッシャー・ラファレル(パワー・ホーム・リモデリング)25位
13位 ブラッド・スミス(イントゥイット)N/A
12位 ドミニク・バートン(マッキンゼー・アンド・カンパニー)3位
11位 スティーブ・ビューチャンプ(Paylocity)N/A

10位 マーク・ザッカーバーグ(Facebook)4位
9位 ブライアン・ハリガン(ハブスポット)N/A
8位 イーロン・マスク(スペースX)N/A
7位 ボブ・べチェック(ベイン・アンド・カンパニー)1位
6位 ジェン・スン・フアン(NVIDIA)36位
5位 マーティン・ランキン(ファスト・エンタープライジズ)N/A
4位 クレイグ・トンプソン(メモリアル・スローン・ケッタリングがんセンター)34位
3位 マイケル・マホー二―(ボストン・サイエンティフィック)N/A
2位 ジム・カバノー(ワールドワイド・テクノロジー)N/A
1位 ベノ・ドーレ(クロロックス)N/A

従業員は「仕事と私生活のバランス」重視

支持率99%で首位を獲得したのは、クロロックスのドーレCEOだ。昨年はトップ50にすら入っていなかったにも関わらず、異例の急上昇を遂げた。「仕事と私生活のバランス」のとりやすい環境を提供することで、従業員から絶大な支持を受けている。

代わって昨年1位だったべチェックCEO は7位に転落。依然として「仕事と私生活のバランス」が支持を集めている一方で、「勤務時間が長い」という正反対の意見も聞かれる。ザッカーバーグCEO(昨年4位)やピチャイCEO(昨年7位)、バートンCEO(昨年3位)なども順位を下げた。ティム・クックCEOに至っては8位から53位まで、急下降している。

残念ながらグラスドアは順位変動の理由を公表していないため、あくまで推測となるが、「今年の上位は日本では馴染みの薄い企業のCEOが多くランクインし、国際的に認知度の高い企業のCEOの多くが順位を下げた」という結果から、従業員のCEOに求めるパフォーマンスや付加価値に何らかの変化が現れた可能性が考えられる。

従業員による評価を見る限り、従業員の中で「仕事と私生活のバランス」がいかに重視されているかがよく分かる。「長時間にわたる労働」や「プレッシャーの大きい職場環境」が、マイナス評価に響いているようだ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)