国際通貨基金(IMF)は、米国経済に関する年次審査報告で、トランプ政権が進める減税やインフラ支出が経済成長を3%に押し上げるとの予測を除外し、2017年の経済成長率予測を2.1%と、4月時点の2.3%からさらに0.2ポイント下方修正した。また18年の成長率予測は2.1%と、前回の2.5%から0.4ポイントに引き下げた。
IMFはトランプ氏の3%成長予測について、「年1%を超える成長率を持続的に加速することは不可能だ」との声明を発表した。
3%成長は公約実現の遅れなどで難しい
IMFは米経済について、「過去3番目に長い景気拡大の中にあり、雇用は持続的に強い」と評価した。しかし、08年の金融危機以降、年2%前後にとどまってきた成長率や、低中所得者を中心に伸び悩む家計所得について、「あまりに低く、あまりに不平等」と指摘。また米経済は、人口の高齢化から生産性の低い伸びまで、さまざまな問題があると指摘。労働市場がすでに完全雇用に復帰した状況にあり、トランプ氏就任以来の公約実現の遅れもあって、3%の成長は難しいとの判断に至った。IMFは所得格差を緩和し、教育や労働参加、税財政改革を促した。
一方、IMFは米連邦準備制度理事会(FRB)について、「雇用最大化」と「物価上昇率2%」の目標を「大筋で達成した」として、利上げ継続や資産圧縮開始を支持した。