トランプ米大統領とその政策は世界中で不人気であることが分かった。米シンクタンクのピュー・リサーチ・センターが実施した世論調査で、その傾向が鮮明に浮かび上がった。50%以上がトランプ氏の外交手腕を信頼しておらず、米国のイメージは今年1月のトランプ政権誕生からわずか数カ月で急速に悪化した。トランプ氏が公約で掲げる「偉大な米国の復活」は程遠いようだ。

他国の指導者についても調べており、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領の信頼度は、トランプ氏の22%に対してそれぞれ28%、27%だった。対照的に、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は42%(信頼できずは31%)が信頼できると応えた。

調査は今年2-5月に実施され、日本を含む37カ国の4万448人から回答を得た。米国に好意的で信頼できると答えた人は49%と過半数を割り、オバマ前政権末期(2016年)の64%(信頼できず39%)から大幅に下がった。ちなみに日本は、信頼できるが57%、信頼できないが39%と、かなり落ちている。

トランプ氏個人の信頼度はわずか22%

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(写真=Evan El-Amin/Shutterstock.com)

トランプ氏の大統領としての信頼度は、22%(信頼できず74%)に過ぎず、オバマ氏の末期の64%とは全く対照的な結果となった。

信頼度が落ちたのは、隣国のカナダ、メキシコもそうだが、特に緊密な同盟国とされてきた欧州とアジア諸国の一部で目立つ。トランプ氏がオバマ氏より高得点を得た国はロシアとイスラエルの2カ国だけだった。

信頼の尺度は、政策と人格の双方についだ。政策については、メキシコとの国境の壁建設は76%から反対された(メキシコは94%が反対)。国際貿易協定(TPPなど)や気象変動の取り組みパリ協定からの撤退も同様に大きな反対に遭遇している。

人格についても、疑問や不安の念が表明された。圧倒的に多くの人が、トランプ氏は傲慢、偏狭、危険でさえあると回答した。にもかかわらず米国の全体的なイメージは、グッドウィルの国民性に支えられて、58%がなおアメリカ人に好意的である。

トランプ氏に対する評価は、オバマ氏の前のブッシュ大統領のそれと類似している。この傾向は特に、英国、フランス、ドイツ、スペインなど西欧諸国で顕著で、トランプ氏の不人気はブッシュ氏の晩年の2008年のそれと似ていると指摘された。

トランプ氏の性格について、世界の見方は次のような結論を出している(一連の性格のリストを見せて複数回答を選ぶ方式で)。

マイナスのイメージ     プラスのイメージ
・傲慢(75%) ・強力な指導者(55%)
・偏狭(65%) ・カリスマ性(39%)
・危険(62%) ・大統領の資質(26%)

欧州はじめ対米好感度悪化、例外はロシア