Appleの設立者、故スティーブ・ジョブズ氏の夫人であるローレン・パウエル・ジョブス氏が立ち上げた社会活動団体エマーソン・コレクティブが、米国の老舗雑誌「アトランティック」の過半数の株を買い入れることで合意に至った。
買収額などは明かされていないが、出版元であるアトランティック・メディアのほかの資産は、デヴィッド・ブラッドリー会長が続けて保有する。
3〜5年後にはエマーソンに完全売却?
今年64歳のブラッドリー会長は、米国のニュースサイト「AXIOS」が入手した 従業員宛てのメモで、70歳という高齢に近づきつつある今、160年の歴史を誇るアトランティック誌の後継者を2年前から探している意向を伝えた。
6代目となる新後継者の候補者を絞りこんだ結果、ローレン氏の名前が真っ先に浮上したという。
ローレン氏といえば故スティーブ・ジョブズ氏から相続した遺産も含め、207億ドル(約2.2兆円)といわれる巨額の資産に世間の関心が傾きがちだが、熱心な慈善活動家としても有名だ。
ローレン氏はエマーソンでの活動をとおし、教育・移民制度の改正・環境など、社会正義活動を実践して いる。その一環として、メディア・スタートアップUDACITYを支援するなど、ジャーナリズムへの投資にも力を入れ始めている。
ブラッドリー会長は少数の株を維持し、今後3年から5年にわたりアトランティックの運営を続けて行く。ジョブス氏の人柄も高く評価しており、自身のアトランティック誌の継続期間完了後には、エマーソンに残りの株を売り渡すことも視野に入れているそうだ。
ブラッドリー会長が「自分より大きな野望を抱いている人物」と評するローレン氏が、米国を代表する老舗雑誌をどのように先導して行くのか、非常に興味深い。