証券取引所に新たな会社の株式が上場することを新規上場=IPO(Initial Public Offering/新規公開)と言う。IPO株は初値がついた後、株価が急上昇するケースも多く、個人投資家からの人気も高い。

IPO株の他に、個人投資家の人気を集めているのが「立会外分売」だ。立会外分売とは、取引所等の取引時間外(売買立会外)に、大株主等の大量の売注文を、多くの投資家に分売する売買方法のことをいう。

立会外分売 企業と投資家それぞれのメリット

立会外分売
(写真=PIXTA)

特定の大株主が大量の株式を売る時、取引時間中に大量の売り注文を出すと、売り注文が殺到して株価が大幅に下落しかねない。そうした事態を避けるために、立会外分売を利用することで株価の下落を避けつつ、多くの投資家に買ってもらうことが可能になる。

企業としては立会外分売を利用することで次のようなメリットがある。

(1)個人の株主を増やすことができる
(2)株式の流動性を高めることができる
(3)株価の値崩れを防ぐことができる

個人投資家にも、立会外分売で株式を購入することで次のようなメリットがある。

(1)分売による株式購入手数料がタダになる

通常、株式の購入・売却時には売買手数料がかかるが、立会外分売を利用すると、株式購入時の手数料がかからないのでお得というわけだ。たかだか数百円くらい……と思うかもしれないが、その手数料分を利益に変えられる。購入したいと考えている企業が立会外分売を行う場合には、手数料がかからないので積極的に利用を検討したい。

(2)数%割引された株価で安く購入することができる

立会外分売での割引率は企業によって変わるが、いずれにしろ終値よりも安い価格で株式を購入できる。株式を少しでも安く購入できれば、それだけ利益も大きくなるわけだから、安く購入できて損はない。購入したいと考えている企業が立会外分売を行う場合には、安く購入できてお得になるので積極的に利用を検討したい。

立会外分売の購入方法 どうやって申し込めばいいのか?

立会外分売を実施する企業は、実施の数週間前から発表して、株式を購入してくれる株主の募集を行う。例えば、7月28日に立会外分売を行ったキャリアインデックス <6538> の場合には、事前に分売の実施日や分売予定の株式数等のお知らせを二ュースリリース等を利用して発表している。なお、立会外分場合の条件は、実施前営業日の引け後に発表される。

立会外分売を利用して株式の購入する場合には、事前に証券会社で購入の申込をしておかなければならない。立会外分売の条件発表から実施までの申込受付期間は意外に短い場合が多いので、申し込み忘れのないように注意したい。

立会外分売を利用したイベント投資

株を購入する際の手数料がかからないことや、割引価格で購入できる以外にも、立会外分売が注目される理由がある。立会外分売を行う企業は一般的に、東証マザーズ等に上場している新興市場や中小型の企業が多い。

東京証券取引所は、一部や二部、JASDAQ(ジャスダック)、マザーズとに分かれていて、一部と二部は比較的大企業向け、JASDAQとマザーズは新興市場向けと区分されている。東証一部や東証二部に指定されるためには一定の要件が決められている。

最初は新興市場に上昇した銘柄であっても、企業が成長する過程で、東証一部、二部への上場を検討する企業も出てくる。東証一部、二部に上場市場を変更するためには株主数等の条件を満たす必要が生じてくるため、立会外分売を利用する企業が多いのだ。

前述のキャリアインデックス <6538> の場合も、企業価値向上を図ることを目的として、東証一部への市場変更の申請を行うため、と会外分売を行う理由を説明している。

市場が変更されることが決まれば、対象市場を投資対象として組み入れている投資信託等からの買い需要が発生することになる。そうした買い需要が見込まれるため、立会外分売を行う企業の中から市場変更の可能性が高そうな企業を予測して、事前に購入しておくことができる。

もちろん、企業が市場の変更を目指していても、すんなりと市場が変更されるとは限らない。事前の期待が大きければ大きいほど、個人投資家からの失望売りが増えて株価が大幅安になる場合もある。また、株式市場の地合いが悪い場合等には、たとえ割引した価格で購入できたとしても、さらに株価が値下がりしてしまうこともある。

これらのリスクがあることを理解できれば、市場変更までに多少の時間はかかるかもしれないが、高い確率で株価は上昇する可能性がある。立会外分売を行う企業の中から市場昇格を狙ったイベント投資も試してみても面白いかもしれない。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、 メルマガ発行 、講演活動、株塾を行う。

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