東京株式市場は波乱含みの展開となっています。6月以降、日経平均株価は2万円の大台を挟んで一進一退の動きになっていましたが、北朝鮮情勢が緊迫の度合いを増した8/9(水)は大幅安となり、7/7(金)の安値を割り込んでしまいました。

そうした中、8月相場もいよいよ後半戦に突入します。8月は生活に密着し、投資家にとっても馴染み深い外食企業や小売企業の多くで配当・株主優待の権利が確定する月ですが、それらの企業のほとんどが8/28(月)を権利付最終日としています。 そこで今回の「日本株投資戦略」では、権利付最終日まで残りわずかになってきた8月株主優待銘柄について、再度考えることにしました。

権利確定接近、投資家に関心の高い「8月優待銘柄」はコレ!?

表1は当社WEBサイト上の「国内株式」内に設置されている「株主優待検索」ページから、8月に株主優待の権利が確定する銘柄を「閲覧回数順」にソートし、その回数の多い銘柄について上位20銘柄を並べたものです。それらの銘柄について株価(8/10現在)と最低投資単位で投資した場合の株主優待内容を記載しております。

最近、株主優待はそれを享受して生活を楽しむ著名投資家や各種メディアによる紹介もあり、多くの方の関心を集めているようです。しかし、「魅力ある株主優待」を考える時、投資家によって「投資余力」も「投資スタンス」も「生活スタイル」も「好み」もそれぞれ異なると思いますので、魅力を感じられる株主優待内容も「人それぞれ」であるのが現実だと思います。だとすれば、様々な投資家が数多く閲覧している銘柄には、それ相応の意味があると考えられます。

なおご参考までに、8月株主優待銘柄についてご説明した7/21(金)付「日本株投資戦略」において、その銘柄が閲覧回数順で何位であったかを「前回(7/20:閲覧回数を調べた月日)順位」として示しています。順位を上げた銘柄の株主優待に魅力があるという訳ではありませんが、投資家の関心度が増していることは確かであると思います。ちなみに「前回順位」が「-」で表示されている銘柄は、前回順位が20位よりも下位であったことを示しています。

8月に株主優待の権利が確定する銘柄には、外食企業や小売企業が多いのが特徴です。このため、株主優待の内容としても、それらの企業の店舗等で使える食事券や買物券等が多いのが特徴です。食事券や買物券は株主になった企業の商品やサービスの提供を受けることで、それらの企業をより深く知るチャンスになると思われます。

投資家の関心が強い8月株主優待銘柄

「8月優待銘柄」の投資ポイント

図1:クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)・日足
図1:クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)・日足

クリエイト・レストランツ・ホールディングス <3387> は洋食、中華、エスニック、居酒屋など様々なタイプのレンストランを展開しています。一般的には「磯丸水産」が知られているかもしれません。2017年5月末現在、全国に868店舗を展開しています。業績は順調。今期(2018年2月期)の営業利益は前期比7.6%増の予想(会社予想)ですが、第1四半期は前年同期比13.1%増と好スタートを切りました。株価は四半期決算発表(7/14)後に急騰し、その後はもみ合いとなっています。

100株以上500株未満を保有する株主には半期(2月・8月)に1回ずつ優待食事券3,000円相当が贈呈されます。

図2:壱番屋(7630)・日足
図2:壱番屋(7630)・日足

壱番屋 <7630> はカレー専門店を中心に展開しています。現在はハウス食品が50.9%を保有する親会社になっています。2017年5月末の店舗数は国内1,298店舗、海外155店舗となっています。決算期変更のため単純比較はできませんが、2018年2月期・第1四半期の営業利益は前年同一期間と比べて11.7%増となりました。足元の既存店売上高(前年同月比)は6月+2.1%、7月+0.7%と順調に推移しています。株価は足元で上昇基調が続いているようです。

100株以上200株未満を保有する株主には半期(2月・8月)に1回ずつ1,000円相当の優待券が贈呈されます。

図3:コメダホールディングス(3543)・日足 ※図1~図3は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成 図3:コメダホールディングス(3543)・日足
※図1~図3は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成

吉野家ホールディングス <9861> は牛丼の「吉野家」の他、国内外に3,074店舗(2017年2月末)を展開する外食チェーンです。今期(2018年2月期)の営業利益は前期比135%増の予想(会社予想)ですが、第1四半期は前年同期比393%増と好スタートを切りました。

100株以上1,000株未満を保有する株主には半期(2月・8月)に1回ずつ300円の飲食券が10枚贈呈されます。ただし、飲食券10枚を会社側が定めた期限までに返送した場合、グループ会社製品詰合せセットと交換することが可能となっています。

株主優待銘柄として投資家への人気は高いようです。このため、予想PERは60倍前後となっており、東証一部の平均(15.5倍前後)よりも相当に高くなっていますので、その点は要注意とみられます。

一般的に、予想PERが高く、株価が割高となっている銘柄には一定のリスクがあるとみられます。そこで優待銘柄への投資に際しても、予想PERが低めの銘柄を選びたいという投資家もいらっしゃるかと思います。ご参考までに、表1の銘柄のうち、予想PER(8/10現在)が20倍未満の銘柄としてはビックカメラ <3048> 、コメダホールディングス <3543> 、S FOODS <2292> 、西松屋チェーン <7545> 、クラウディア <3607> 、日本BS放送 <9414> 、フェリシモ <3396> などがあります。

このうち、コメダホールディングス <3543> は喫茶店チェーンを運営する子会社を有する持株会社で、2017年5月末現在全国に761店舗を展開しています。100株以上保有する株主に対しては1,000円相当の自社電子マネーが贈呈されます。

予想PERは17.3倍、予想配当利回りは2.61%となっており、バリュエーション面での割高感は小さいようです。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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