8月11日は国民の祝日「山の日」だった。
高尾山や丹沢で山フェスが開催されるなど各地で山イベントが催された。読者の中には夏の山を楽しんだ人もいることだろう。筆者もその一人だ。

そんな「山の日」を控えた8月10日、株式市場でスノーピーク <7816> が一時ストップ安となる急落に見舞われた。同社はクライマーやキャンパーから一目置かれる、アウトドア・ブランドだ。よりによって「山の日」を前にスノーピークの株価が急落したのはなぜか? その背景に迫ってみよう。

「山の日」を前に株価は一時ストップ安に

スノーピーク,株価
(写真=Thinkstock/GettyImages)

スノーピークが業績の下方修正を発表したのは、8月9日のことだ。
同社によると、2017年12月期上期(1月〜6月)の売上は4.1%増の50億5000万円、本業の利益を示す営業利益は「74.1%減」の1億5000万円と大幅な減益を計上した。同時に、通期の売上予想も10億8000万円から9億7000万円に、営業利益も10億8000万円から3億4000万円にそれぞれ下方修正した。

翌10日の株価は一時ストップ安まで売られ、引け値は前日比15.6%安の2730円と年初来安値を更新した。その後も株価は冴えない展開を余儀なくされている。山が大好きで同社の株主だった個人投資家はさぞがっかりしたことだろう。

2015年12月期の売上は「41.3%増」だったが

スノーピークはもともと1958年創業の新潟県三条市の金物屋「山井幸雄商店」が原点で、その後アウトドアレジャーメーカーとして事業を拡大。1963年には「スノーピーク」ブランドを商標登録し、高度経済成長とともに日本を代表する総合アウトドアメーカーへと発展した。

2014年12月には、東証マザーズにてIPOを果たした。同年12月期の売上は23.9%増、2015年12月期の売上41.3%増と絶好調だった。さらに、IPOから1年後の2015年12月には東証1部に移行したものの、2016年12月期の売上は17.4%増、今期2017年12月期の売上予想は5.2%増とスローダウンが目立ち始めている。

スノーピークは2017年12月期の下方修正の理由について、昨年からの出店ラッシュで経験の浅い販売スタッフが増えたこと、経営の効率化のために全社的に導入したビジネスソフト(ERPパッケージ)がきっちり稼働せず受注ロス、出荷遅れなどで収益機会を逃したこと等を明らかにしている。

拡大路線を急ぎすぎたか?

筆者は登山が大好きで、スノーピークのチタンカップなどを長年愛用している。美しくて、軽くて、使い込むほどに愛着が湧いてくる一品だ。

しかし、スノーピークの熱烈なファンとして、あえて言わせて頂くなら「事業拡大のための投資を急ぎすぎた面があるのではないか」との印象を強く受ける。経験の浅い販売スタッフの増加も、ビジネスソフトのトラブルによる収益機会の損失も結局は「急ぎすぎた」ことに起因するように思えてならない。

実際、業界最大手のモンベル(未上場)が直営店を大量出店して拡大するのに合わせるように、スノーピークも国内直営店の出店を加速した。登山人気は日本だけでなく、韓国、台湾でも拡大しており、海外出店も積極的に推進した。IPO時の中期経営計画では、5年間で直営店を5倍に、インストアを約2倍に、ショップインショップを約4倍にする計画だった。

新規事業に関しても、アパレル事業に加え、住空間にアウトドアを取り入れるコンセプトの「アーバンアウトドア事業」、新しいキャンプスタイルで豪華なアウトドアスペースを提供する「グランピング施設」の経営など積極的な拡大路線をとった。いわば、従来のキャンパー以外の新しいユーザーを取り込み、同社が得意とする「市場創造による拡大路線」を進めたのだ。

ビジネスの急拡大に伴い、投資も拡大した。ERPパッケージなど経営の効率化・顧客エンゲージメントに対する投資は6億円規模にまで膨らんだ。物流拠点を集約するための新物流センターへの投資も当初計画の8億円から17億円に膨らんでいる。

「品質と信頼」で未来を切り拓いてほしい

スノーピークは「品質と信頼」でファンを増やし、着時に成長してきた企業だ。

率直に言って、筆者はスノーピークのアパレルには期待していない。原点に戻り、「品質と信頼」の登山用品で未来を切り拓いてほしい。これからもアウトドア好きの人達に愛される製品を作り続けてほしい。スノーピーク好きの投資家が、同社の株式を安心して長期保有できるような魅力ある会社になってほしいと心から願っている。

平田和生(ひらた かずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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