アリババの4~6月期四半期決算における売り上げ、利益の伸びは、米国Amazonのそれを大きく上回った。また株式時価総額でも肩を並べつつある。ニュースサイト「今日頭条」はこの状況を“大戦勃発の前夜”と伝えている。それは正しい認識なのだろうか。詳しく見ていこう。

アマゾンを追い上げるアリババ

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(写真=testing/Shutterstock.com)

目前の株価は、アリババ174.5ドルに対し、アマゾンは996.9ドルである。しかし時価総額では、4039億ドル対4621億とかなり差がつまってきた。年初からの値上がり率は、アリババ97%、アマゾン28%である。

また核心業務(ネット通販)の売り上げはアリババ63億4700万ドル、アマゾン237億5400億ドル。

クラウドコンピューティングのの売り上げは、アリババ3億5900万ドル、アマゾン41億ドル。ただし前年同期比では、アリババ96%増、アマゾン42%である。アリババは14のデータセンターを持ち31地区で供用可能。これに対してアマゾンは16のデータセンターを持ち44地区での供用が可能である。

東南アジアでの競合

両者の最近のアジア展開は次のようになっている。

●アリババ

2015年8月 インド最大のネット通販Snap dealに出資、4.1%株主に。
2017年6月 Lazada(シンガポール本社の東南アジア向けネット通販)に10億ドル投資、83%株主に。
2017年8月 インドネシアのネット通販Tokopediaに11億ドル出資。

Lazadaを手中にしたことでマレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムに手がかりを得た。今後は東南アジア市場において高級品市場の開拓を目指す。

●アマゾン

2017年7月 インドネシアでのネット通販事業に2億6000万ドルを投資。
2017年7月 中東最大のネット通販Souqを6億5000万ドルで買収。
2017年7月 シンガポールで2時間配送業務開始。

アマゾンも東南アジア市場争奪戦に参戦した。ただし参入モデルはアリババと同じではない。米国本土と同じ直営システムの建設には困難が伴うだろう。

小売戦略と決済戦略

アマゾンは全米最大の天然有機食品スーパーチェーン「ホールフーズ」を137億ドルで買収した。新しいコンビニAmazon Goや、Pickup Service などの実験で新しい小売実験を行っている。これらはいちいち世界的に報じられている。

アリババは蘇寧、聯華超市など小売4社に出資している。また「盒馬鮮生」というモバイル決済の新業態店(3キロ以内30分で配達)や無人ス―パーや無人販売機の実験を行っている。

決済戦略においてアマゾンは、米国本土でPayPalの後塵を拝している。2013年PayPalとの提携をあきらめ、自前でAmazon Payを始めた。しかし2016年の決済額は、PayPalの3360億ドルに対し60億ドルに過ぎない。

これに対しアリババは、2014年10月金融子会社のアント・フィナンシャルを設立し、モバイル決済の「支付宝」を含むあらゆる金融サービスを提供している。バンカメ・メリル・リンチ6月発表のレポートでは、同社の企業価値は880億ドルに達する。同社の分をプラスすると、アリババの価値はアマゾンを上回る。

こうして比較してみると「大戦」は既に勃発し、局地戦ではアリババがリードしている。アリババVSアマゾンという構図は、十分比較検討に値する。それどころか今後の産業界にとって、最も注目に値するテーマの一つだろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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