中国が偽物作り大国であることは周知の事実である。それにより膨大な利益を上げていることも常識だ。現在米国からはスーパー301条の発動をちらつかされている。知的財産権の保護に対しても圧力がかる。

8月になると、アウディ、ニューバランスと相次いで商標権侵害訴訟のニュースが伝えられた。いずれも原告側勝訴である。しっかり対応しているという国際社会向けアピールだろうか。実態を見ていこう。

アウディは2審勝訴

コピー天国,中国経済,裁判
北京のNew Balanceショップ(写真=testing/Shutterstock.com)

北京知識産権法院が最近、アウディが北京中漢方盛汽車服務有限公司を商標権侵害で訴えた裁判の2審判決を下した。1審の北京市石景山区人民法院の判決を支持、中漢方盛公司の主張を退け、商標権侵害行為を中止し、アウディ側に経済損失と訴訟費用計80万5000元の支払いを命じた。

2審の審議では、原告被告とも激烈な弁論を繰り広げた。中漢方盛公司は、修理工場の内外にAudiやあの特徴ある4輪マークを掲げたり、アウディマークの入ったラジエーターを勝手に販売していた。

2審判決は、アウディブランドの長期使用には高い商業価値があり、中漢方盛の宣伝は、自己裁量の範囲を超えている。またマーク入りラジエーターは純正品とは明白な差異があり、完全な偽物と認定した。

意味不明な言い訳を、勢いだけで繰り広げる中国側の弁論が目に浮かぶようだ。

ニューバランスは最高額

蘇州中級人民法院は8月末、3人の“New Boom”(福建省・晋江市)の製造業者に対し、New Balanceへ権利侵害賠償金と訴訟費用150万ドルの支払いを命じた。有名な斜め「N」デザインの権利侵害による。

3人のうち1人の手口は、2014年に米国コロラド州に会社を設立し、そこからの発注という形をとるなど手の込んだものだった。それだけ手間をかけても十分リターンのあるビジネスだったのだろう。

判決は、類似品によりNew Balanceの受けた損害は極大と認定し、権利侵害及び不当競争行為の即刻停止と、この種の訴訟では最高額となる罰金の支払いを命じた。また強制執行の申請も可能とするなど厳しい内容である。

また今年4月にもNew Balanceの権利を侵害したとして生産会社に、25万~55ドルの支払いを命じる判決が出ている。今回の150万ドルは最高だが、国際標準から見れば一般的水準という。しかし完全勝利には違いない。

氷山の一角に過ぎない

中国海関(税関)は、偽ブランドの水際阻止に力を入れている。筆者が関わったSPALDING(スポルディング)のスポーツウェアの件を紹介する。中国の生産工場は米国スポルディングの監査を受けている。それも含めブランドを冠した商品の権利関係を、税関に説明しなければならない。

このケースでは商品企画はすべて日本側で行っている。米国スポルディングにはブランド使用料を製品価格の15%支払う契約だ。支払い先は日本市場でのブランド使用権を持つ伊藤忠(の子会社)である。これに輸出入業務において日中双方でそれぞれ商社が絡むとなると、契約は複雑で権利関係の説明に骨が折れる。実際に輸出を長期間足止めされたケースもある。

税関で輸出許可の出なかった商品はどうなるのだろうか。海外バイヤーが引き取り拒否した不良品などとともに、中国国内市場に流入する。こうして意図的な偽物も含め、国内には出所不明のブランド品があふれかえることになる。訴訟になるのも、報道されるのも象徴的なケースのみである。

しかしこのところ欧米配慮もあり、全面勝訴判決の出る趨勢にはなってきた。訴訟を起こす分にはチャンスだろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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