米国のトランプ政権が、オバマ前政権の目玉政策の1つである不法移民救済制度「DACA」を段階的に打ち切ると発表したことから、Appleなど国内の一部大企業からは、労働市場を含めて経済に悪影響を及ぼすと反対の声が上がっている。

オバマ氏が大統領権限で導入したこの救済措置は、幼少時に親に連れられて米国に不法入国した、中南米諸国の若者の強制退去を免除する制度。

エコノミストの試算によると、約80万人が対象で現在就労している。1億6000万人余りの米労働人口のうち“ドリーマー”と呼ばれるこうした若者が占める割合はわずか0.5%に過ぎない。それでもトランプ氏の方針が労働市場を誤った方向に導くという訴えの声があがっている。

「ドリーマー」たちの役割は? 世論割れる

トランプ政権,移民政策
(写真=Photo_Grapher/Shutterstock.com)

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米金融大手 JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEOは、「最も優秀で才能ある人々を集め続けるため、われわれにできることは何でもするべきだ」と語った。Appleのティム・クックCEOは「彼らはわが国の都市や町で育ち、全米各地の大学で学位を取得した。今では28州のアップルの拠点で働いている。彼らはわが社とわが国の経済、そしてわれわれの社会に貢献している」と述べたという。

ドリーマーが米国から退去させられたり、労働市場の影の部分に追いやられたりしても、短期的には米経済に目立った影響はないという見方が強い。

ダラス地区連銀のシニアエコノミストは、「DACAはその恩恵を受ける人々の生活に大きな影響を与えてきた。しかし、米経済や労働市場に影響があるほどの人数ではない」としており、これが代表的な見解である。

とはいえ、長期的に見れば、米経済が成長し続けるためには労働力の供給が必要だろう。GDPと所得の伸びは、労働力の規模と労働生産性によって決まる。米国生まれの米国人の数が伸び悩み、ベビーブーマー世代が引退の時期を迎える中、移民の労働力への依存度はますます高まる見通しなのだ。

トランプ政権は、米議会がDACAの代替制度の関連法案を通過させる期限を2018年3月5日とした。議会が同日までに法案を成立させられない場合、DACAによって滞在を認められている人の許可は3月以降、順次失効する。その場合は合法的に就労できなくなり、強制退去の対象になる。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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