メキシコシティーで開かれていた米国、カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の第2回会合が閉幕し、3カ国は協議に進展があったと表明したものの、メキシコのグアハルド経済相は、最大の焦点だった関税基準について「米国から具体的な要求がなかった」と述べ、関税をめぐる本格的な交渉は次回以降に先送りされた模様だ。

年内に交渉を終える方針を改めて確認。会合では、一部の提案について文言の調整を行った。第3回会合は9月23-27日にカナダのオタワで開催される。

米国が強く求める関税問題を除きかなり進展

米国経済,自由貿易交渉,関税
(写真=Willrow Hood/Shutterstock.com)

NAFTAは、貿易の自由化による経済発展を目的として、米国とカナダとの間で1989年に米国・カナダ自由貿易協定が結ばれ、その後94年に、メキシコが参加した。この協定では、域内の貿易における全品目の関税を金額ベースで99%撤廃することとなっている。域内GDPは約11.5兆米ドル、人口約4.1億におよぶ。

トランプ米大統領は早くから、NAFTAを破棄する考えを示していたが、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、カナダのフリーランド外相、グアハルド経済相は、NAFTA破棄を否定した。

ロイターによれば、会議後の共同声明で、「3カ国は新たなNAFTA交渉に完全にコミットしている。新たなNAFTAは、北米諸国の競争力を強化し、域内の貿易を拡大し、国際的な競争に力を合わせて立ち向かう」と、前向きの姿勢を表明した。

ライトハイザー代表によると、交渉が完全にまとまった分野はないが、中小企業、デジタル貿易、環境、サービス分野などいくつかの文言調整で進展があった。メキシコの有力企業団体トップによると、討議すべき20以上の課題の内、エネルギーや通信分野のほか、投資に関する課題や中小企業の状況改善、税関手続きの効率化などで進展があった。

NAFTA再交渉は8月16日から始まり、今回は9月1日から2回目会議が再開されたていた。再交渉は20以上の作業部会でそれぞれの課題を詰め、最重要課題である3カ国で製造された部品を一定の割合以上使用すれば、北米産の製品として相互に関税をゼロにする「原産地規則」をめぐる主張は依然隔たりがあり、先送りされた。

NAFTA再交渉はそもそも、トランプ氏が「米労働者や企業にとって不公平な協定」であるとして、今年初め再交渉の意向を表明して始まった。トランプ氏の強硬な見解は「雇用を奪ったのはロボットではなくNAFTA」という、米労働者の「あらゆる貿易協定が米国にとってマイナス」という声を代表している。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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