ロレアルが所有する英国の化粧品ブランド、ザ・ボディーショップを、ブラジルの大手化粧品会社ナチュラ・コスメティコスに売却すると発表した。ブラジルおよび米国の独占禁止法規制当局による承認を取得後、年内の売却完了を計画している。

かつて海外投資家による米国での動きを予想して、フォーチュン500企業のCEOが「インドとブラジルには気をつけろ」と発言したそうだが(スレート・コム より)、予想的中といったところだろうか。

最も目につく例は、欧米企業への投資が盛んな3Gキャピタルだ。クラフト・ヘインズやバーガーキング、ABインベブによるSABミラーなど、欧米の大手企業買収劇の裏には 、ブラジルの著名投資家、ジョルジ・レマン氏 が設立した3G キャピタルがある。

セレブに人気の自然派化粧品ブランドも所有するナチュラ・コスメティコス

ナチュラ・コスメティコスによる買収額は未公表だが、CNNの報道によるとロレアルは以前、ザ・ボディーショップの時価総額が11億ドル相当だと明かしていた。

2006年に当時の設立者ゴードン夫妻から6.5億ポンド(約919億円)でボディショップを買収(ガーディアン紙より )して以来、世界66カ国・地域で事業を展開していたものの、近年は売上の低迷から売却を検討中だと報じられていた。

ロレアル買収以前のブランド・コンセプトであった「自然派」から大きく路線が外れ、顧客離れが加速したことに加え、ライバルメーカーが増えたことなどが、売上低迷の要因として挙げられている。

新たな親会社となるナチュラ・コスメティコスは欧米のセレブレティーに人気のオーストラリアの自然派ブランド、Aesopも所有しており、専門家は「ザ・ボディーショップの再建にふさわしい企業である」と評価している 。

ザ・ボディーショップが本来の自然派路線に回帰するきっかけとなれば、昔からの顧客はもちろん、新たな顧客層を開拓できるかも知れない。

食品、IT、ビールなど、次々に欧米企業を買収するブラジル