中国商務部(経済産業省に相当)は8月末、「中国住宿行業発展報告2017」を発表した。それによると宿泊業を営む企業数は、2016年には58万8000社、2011年比で24.6%の増加となっている。経済ニュースサイト界面が伝えた。中国の宿泊産業は、今どのようになっているのだろうか。

売上の増加ペースは鈍い

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(写真=PIXTA)

ここ2年、宿泊飲食を含む社会消費品小売総額は、毎月10~11%程度伸びている。宿泊産業の伸びはどうなのだろうか。

商務部のデータによると、営業収入が200万元以上ある一定規模以上の宿泊企業売上は、2015年、3602億9000万元で前年比4%のプラス、2016年は、3791億億元で同じく4%のプラスであった。

また「2016年中国在線旅游行業監測報告」というレポートによれば、インターネット予約サイトによる宿泊産業は、2015年42.6%伸び、901億8000万元だった。2016年は、20%伸び1085億80000万元、2017年は、17.5%伸びて1275億8000万元になると見積もられている。予約サイトの貢献度は3分の1ほどにまで高まっている。(1元=16.85円)

しかし、一定規模以上のホテルに限れば、売上伸び率は大したことはない。もう少し詳しく分析する必要がありそうだ。

ビジネスホテル苦戦、民宿伸びる

クラス別の宿泊市場シェアをみると、高級ホテル7.4%、中級ホテル、28.6%、ビジネスホテルチェーン22.1%、その他施設41.9%である。

中高級ホテル……中高級の“星級”ホテルは2013年の約1万1500軒から、2015年には約1万500軒と1000軒あまり減少している。ただし高級ホテルに限れば施設数は増加している。

ビジネスホテルチェ……ンーもっとも苦戦しているゾーンである。2011年からすでに施設数は減少し、2015年には8.4%減少している。下位チェーンでは事業売却が相次いだ。

民宿……その他カテゴリーの中には民宿も含まれる。民宿とは日本起源の家庭旅館で、中国の“便民招待所”“農家楽”に近いものだ。民宿の売上はここ3年60%ペースで増加、2017年には120億元になるとみられる。

顧客需要の細分化に対し、対応できているのは高級ホテルと民宿の両極になっているようだ。ではAirbnbはどうだろうか。

Airbnbは未発達

Airbnbは中国では日本や欧米で利用するイメージである。ある中小企業家は、仕事と観光を兼ね、家族で1週間東京に滞在した。Airbnbを利用したのだが、ホストも料金も大変に気に入った、また利用したいと高く評価していた。

これに対し中国国内での事例についてはあまり聞かない。Airbnbの普及を阻むものは何か、という一文を発見した。

  • 主要顧客である18~35歳の層に適した部屋の供給が十分でない。
  • ホストとゲストの信頼関係の欠如。欧米のような個人の信用関係が不十分。
  • 米国、日本、台湾のようなホームステイ、民宿文化がない。保守的な儒教文化は、他人を排除しやすい。
  • 価格問題、安ホテルならたくさんある。
  • 長期滞在ならホテルや親戚の家と考える人が多い。

などの問題点を挙げている。しかしAirbnbのほうでは、9月に新しい北京事務所をオープンしている。部屋の供給元を本格開発するための、宣伝広報活動を行うようだ。今のところネット上では民宿とAirbnbを一緒にした議論もよくみかける。Airbnbはイメージをはっきり確立できるのだろうか。Airbnb北京事務所はいきなり正念場を迎えそうである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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