国内株式相場は少し落ち着きを取り戻してきたようです。日経平均株価は9/8(金)に一時19,239円まで下げましたが、9/14(木)には一時19,918円まで値を回復しました。北朝鮮の建国記念日(9/9)を無事通過したことや、米国のハリケーン被害が一時警戒されたほど大きくなりそうもないことから、市場安心感が強まったこと等が背景と考えられます。

そうした中、9月もいよいよ中旬を迎えています。上場企業の多くは3月決算ですので、第2四半期(中間期)末の権利付最終日に向け、株主優待や配当の権利を確保しようとする投資家の動きが「ラスト・スパート」を見せる可能性がありそうです。そこで、今回の「日本株投資戦略」では「9月株主優待銘柄」として投資家が強い関心を寄せている銘柄の中から、10万円以下という少額で買うことができ、配当も期待できる銘柄を抽出し、ご紹介することにしました。

10万円以下で買える「9月優待・好配当銘柄」はコレ!?

今回の「日本株投資戦略」では「9月株主優待銘柄」として投資家が強い関心を寄せている銘柄の中から、10万円以下という少額で買うことができ、配当面でも魅力があると考えられる銘柄を抽出し、ご紹介することにしました。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)3月または9月決算銘柄であること
(2)「9月優待銘柄」で当社サイトでの閲覧回数順ランキング40位以内であること
(3)最低投資単位(ここではすべて100株)での投資金額が10万円以下であること
(4)最低投資単位(ここではすべて100株)で株主優待の権利を受け取ることができる銘柄であること
(5)株主優待の権利を受け取る時に最低保有期間等の制限がないこと
(6)中間決算で配当が計画(会社側)されていること

以上の条件をすべて満たす銘柄を年間の予想配当利回りが高い順に並べたものが表1となります。なお、結果的には表1のすべての銘柄が3月決算銘柄で、最低投資単位も全銘柄が100株単位になっています。

10万円以下で買える「9月優待・好配当銘柄」はコレ

朝日放送 <9405> を例にご説明すると、同社の株価は857円(9/14)であり、その株価で最低投資単位(100株)を購入すると必要金額(諸コスト未考慮)は85,700円(857円×100株)になります。最低投資単位の同社株を権利付最終日である9/26(火)時点で保有していれば「中間配当」として1株当たり10円の配当、および「株主優待」として500円相当のオリジナル・クオカードを受け取ることができます。

なお、予想配当利回りは、年間に予定されているすべての配当を受け取った場合の利回りを指しています。朝日放送の場合「中間配当」として1株当たり10円、期末配当として1株当たり10円を両方とも受け取り、「通期配当」として計一株当たり20円の配当を受け取った場合、その利回りが2.33%として計算されることになります。

さらに、最低投資単位での株主優待(9月)内容の概要は、必ずしも株主優待内容のすべてを示している訳ではありません。ひらまつ <2764> の場合、表1に書かれた利用割引の他、フェアへの有償招待(年数回)、婚礼飲食代10%割引、自社オンラインショップでのワイン購入20%割引等の株主優待もあります。東急不動産ホールディングス <3289> ではリゾートホテル宿泊優待券1枚の他、宿泊優待共通券(「東急ステイ」・「リゾートイン」・「パラオパシフィックリゾート」で利用可)2枚、スポーツ優待共通券(ゴルフ場・「東急スポーツオアシス」・スキー場で利用可)2枚等の株主優待があります。

価格変動リスクを軽減し、株主優待を賢く取得するテクニックはコレ!?

昨今のブームもあり、株主優待を利用されている方も多いと思いますが、せっかく優待を貰ったのに、株価が下落してしまい、結果、損してしまったなんてことも多いのが現実です。そこで、株主優待を受取りつつ、価格変動リスクもしっかり軽減できる基本テクニックとして「つなぎ売り」をご紹介したいと思います。

例えばいま、株主優待の権利がほしい会社の株を株価500円で100株買うとします。この時に、信用取引(一般信用)で同じ銘柄を500円で100株売ります。その状態で、権利付最終日にその銘柄を保有していれば株主優待の権利を獲得することができます。あとは権利付最終日の翌営業日に「現渡」にて返済し、「つなぎ売り」取引を終了すれば、価格変動リスクを基本的には回避して株主優待の権利を獲得できることになります。

なお、「つなぎ売り」で注意しなければならないのは手数料です。同じ銘柄の買い(現物)と売り(一般信用売り)を同時に行うため、手数料もその分かかることになります。しかし、ネット証券は総じて手数料が安いので「つなぎ売り」がその分実行しやすいといえます。特にSBI証券では、「アクティブプラン」において1日の約定代金が10万円以下ならば手数料がゼロとなっています。

また、同じ株価で買い(現物)と売り(一般信用売り)を同時に行う必要があります。このため、例えば権利付最終日の場合は、その「寄り前」に成り行きで買い(現物)と売り(一般信用売り)を同時に発注することが有効な手段であると考えられます。さらに、中には「一般信用」ができない銘柄もあります。表1ではビーアールホールディングス(1726)は「つなぎ売り」をすることができませんので、株価変動リスクに十分注意する必要があります。

そもそも、「つなぎ売り」は信用取引の仕組みを活用した方法なので、信用口座を開設しておく必要があります。その他、「9月株主優待銘柄」や「つなぎ売り」の詳細については、以下のページも参考にしてみてください。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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