2017年8月17日から19日かけてビットコインキャッシュ(BCH)が300ドル台から1000ドルに迫る急騰を見せたが、これをけん引したのは韓国の投資家とされている。

韓国最大の仮想通貨取引所ビットサム(BITHUMB)は8月19日に取引量が過去最高の2兆6018億ウォンを記録した。前日のコスダック市場2兆4357億ウォンを上回る取引高である。

ビットサムは1日の仮想通貨取引量世界1位をたびたび記録しており、8月19日前後のBCH取引では韓国ウォン取引の占める割合が60%前後に達した。

取引量の増大でハッキング被害も増えているが、韓国金融当局は仮想通貨の制度化に慎重な姿勢をみせている。

仮想通貨に殺到する韓国の投資家たち

韓国経済,仮想通貨
(写真=xtock/Shutterstock.com)

2017年8月25日未明、仮想通貨リップルの公式ツイッターに重大発表がツイートされると取引量が跳ね上がり、価格が揺れ始めた。暴騰していた値が崩れ、1コインあたり344ウォンから一時230ウォンまで暴落した。

同日正午から24時間に取引されたリップルは61億7200個、ウォン換算で1兆4894億ウォンを超えたが、その48.7%が韓国のビットサムだった。コインワン17.3%やコービット11.7%など、80%近い取引が韓国の3大仮想通貨取引所で行われている。

リップルを含む世界の仮想通貨取引量の30%前後を韓国人が占めており、今後もさらに加速するという見通しもある。

仮想通貨の投資家は仮想通貨のホワイトペーパー、開発者や企業のTwitter、関連ニュースなどを見て投資に乗り出す。株式市場で公示やニュース、財務諸表を見て投資するのとかわらない。有望な投資手段として急浮上している仮想通貨だが、投機売買によるバブルを警戒する声がでている。

高まるハッキングの懸念

仮想通貨はハッカーのターゲットにもなっている。韓国の仮想通貨取引所ヤピゾンは、2017年4月にハッキングで55億ウォン相当のビットコインが奪われ、ビットサムも同年6月に社員のパソコンから3万人余りの顧客情報が流出した。

世界最大級の仮想通貨取引所ビットサムは、実態は小規模企業でセキュリティ水準は量的成長に追いついていない。仮想通貨取引所は許認可が不要で、インターネットショッピングモールと同じ通信販売業者と規定されており、投資家保護義務などはない。

発信者番号操作にだまされてワンタイムパスワードの使用を解除するなど、セキュリティ上の被害が発生しており、一部の被害者は民事訴訟を起こし、集団訴訟の参加者を募集する弁護士も現れている。

銀行関係者は「現在の仮想通貨取引は、金融業界から見るとあきれる水準で、金融委員会や韓国銀行が制度を先送りすれば大型事故が発生することにもなる」と警告する。

ビットサムの個人情報流出では100人以上の仮想口座から、数百万ウォン(数十万円)から数億ウォン(数千万円)が流出しており、ビットサムは個人情報流出の被害者を3万人程度と推算するが、会員数70万人以上で1日の取引額が7千億ウォン(約688億円)に達することから被害がさらに増える可能性もあるとみられている。

北朝鮮指導部が資金源確保のためにビットコインなどの仮想通貨を盗む試みを加速させているという指摘もある。核やミサイル開発を急ぐ北朝鮮に対して米国などが科す国際的な経済制裁に備えているとみられているのだ。

2016年5月、インターネット通販大手のインターパークから顧客情報が流出し、ハッカーから30億ウォン(約2億8000万円)のビットコインを要求される事件が発生している。韓国警察庁は、ハッキングに使われたIPが過去に北朝鮮逓信省が使用したハッキングのIPアドレスと一致することや脅迫メールに北朝鮮式の表現で書かれた内容があったことから北朝鮮によるハッキングを疑っている。

セキュリティ強化が急務の仮想通貨だが、金融当局は制度化を敬遠している。仮想通貨関連の制度化は、一般投資家の参入を助長し、市場が過熱して“バブル”が崩壊する懸念をもっているというのだ。

韓国は国内に投資適格案件が不足しているといわれている。有事に備えて国外で通用する資産を蓄えておきたいと考える人たちもいる。仮想通貨熱はまだ続くだろう。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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