投資家の関心がシリコンバレーからロサンゼルスに移行していることが、IT企業情報サイト、Built in LA の調査で明らかになった。

2016年のロサンゼルスIT企業へのベンチャーキャピタル投資は推定42億ドル(前年比38%増)、投資件数は213件。わずか100件、8.7億ドルだった2012年と比べると、その急成長ぶりに驚かされる。

シリコンバレーでインフラ確立、ロサンゼルスでコンテンツ作成

スタートアップと共にFacebookやNetflixといった国際大手IT企業が集結するシリコンバレーに対し、ロサンゼルスからはホームセキュリティー企業Ringやオンライン自動車販売サービスのTrueCar、昨年ユニリーバが10億ドルで買収したDollar Shave Club などが生まれている。

アップフロント・ベンチャーズのマネージング・パートナー、マーク・ススター氏は、かつてシリコンバレーが投資家の関心を独占していた理由を、「インターネットやほかの技術のためのインフラやネットワークの構築が必要だったため」と分析している(CNBCより )。

シリコンバレーでインフラやネットワークの基盤が確立した今、それを発展させるためのコンテンツ、コマース、コミュニケーションへの需要が高まっている。ロサンゼルスが脚光を浴びているのはそのためだ。

年間2万人の技術者を輩出する優秀な技術者の宝庫

そもそもロサンゼルスはチャンス溢れるビジネス大都市として、既に国際的な地位を確立している。

巨額の資金が流入するハリウッドでは、ウォルト・ディズニーが仮想現実(VR)コンテンツ・スタートアップJauntに6500万ドルを投じ たほか、NetflicやAmazonもコンテンツ作成にハリウッドを利用している。

もう一つのロサンゼルスの強みは、優秀な技術者の宝庫である点だ。カリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、南カリフォルニア大学など、教育水準の高い大学が年間2万人以上の技術者を輩出している。

これまで4億ドル以上をハイテック・医療プロジェクトに投じてきたパトリック・スン・シオン氏も、「ロサンゼルスで多数の最先端技術が研究・開発されている」と、投資家の立場からロサンゼルスの魅力を語っている。

またテスラおよびスペースXのイーロン・マスクCEOが手掛けるロケット旅客計画でも、ロサンゼルスが話題の中心だ。これは「ロサンゼルスとニューヨークを25分で移動」というコンセプトに基づくもので、実現すればロサンゼルスへの注目がさらに強まることは間違いない。

PwCの2016年の調査によると、ロサンゼルスを含む南部へのベンチャー投資は47億ドル。65億が流入したシリコンバレーには一歩届かないものの、1年後、5年後、10年後には立場が逆転していても不思議ではないだろう。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

FinTech online編集部

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