金融機関に商品・サービスを提供している企業ランキングが発表され、FinTech企業部門(FinTech 100)では日本のNTTデータや野村総合研究所がトップ10入りしたほか、GLORYやCapital Asset Planningの合計4社がトップ100に選ばれた。

エンタープライズ部門(FinTech Enterprise 25)はIBMやMicrosoft、アクセンチュアなどと並んで富士通が9位、日立が10位に。

首位を含め、昨年から順位に細かな変動が見られる。EnvestnetやSS&C Technologiesが大きく順位を上げたのとは対照的に、ACI Worldwideや Misysは後退した。

「FinTech 100」トップ30企業と昨年の順位

NTT,野村総合研究所,日立,富士通
(画像=(写真=nttdata.comより))

30位 Envestnet 米国(38位)
29位 Syntel 米国(28位)
28位 Temenos スイス(29位)
27位 FICO /Fair Issac Corporation  米国(30位)
26位 Ingenico フランス(27位)
25位 Misys /Finastra 英国(23位)
24位 ACI Worldwide 米国(17位)
23位 Black Knight Financial Services 米国(25位)
22位 Broadridge Financial Solutions 米国(26位)
21位 GLORY 日本(24位)
20位 Genpac 米国(19位)
19位 Moody’s Analytics 米国(22位)
18位 D+H /Now Finastra 英国(21位)
17位 Equifax 米国(16位)
16位 SAS Institute 米国(15位)
15位 CoreLogic 米国(17位)
14位 Jack Henry & MissouriAssociates 米国(14位)
13位 SS&C Technologies 米国(20位)
12位 CA Technologies 米国(13位)
11位 First Data Georgia Corporation 米国(12位)
10位 野村総合研究所 東京本社 日本(9位)
9位 Total System Services/TSYS 米国(8位)
8位 NCR Corporation 米国(7位)
7位 Infosys Limited インド(6位)
6位 Diebold Nixdorf 米国(10位)
5位 NTTデータ 日本(5位)
4位 Cognizant Technology Solutions 米国(3位)
3位 Fiserv 米国(4位)
2位 Tata Consultancy Services インド(1位)
1位 FIS 米国(2位)

IDC独自の調査および分析結果、前年度の収益などで評価

ランキングは国際市場調査会社IDCが作成したもの。FinTech企業部門の対象は「過去1年の収益の3分の1以上を金融機関から得ている企業」、エンタープライズ部門は「収益の3分の1以下を金融機関から得ている多産業型企業」となっている。

「IDC Financial Insights」による独自の調査および分析結果と、前年度の収益などが評価基準だ。

ネットワーク、通信、データサービス、電子取引などの販売から得た収益は対象外だが、クレジットカード会社や市場データ会社でも、ソフトウェアやハードウェア関連の商品・サービスは対象になる。

FISがタタ・コンサルタンシー・サービシズから首位を奪還 

「FinTech100」ではトップ30のうち20社は米国が独占。FIS、Fiserv、Cognizant Technology Solutionsなど、順位に若干の入れ替わりがあるものの、トップ10を半分も占めている。

次いでトップ10にタタ・コンサルタンシー・サービシズやInfosys Limitedがランクインしたインド、 NTTデータと野村総合研究所 東京本社がランクインした日本が健闘。英国からはD+H /Now FinastraとMisys /Now Finastraの2社がトップ30に選ばれた。

2017年のFinTech部門で首位を獲得したのは、フィデリティ証券の情報サービス子会社FIS (フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ)。金融機関向けアプリケーション、インターネットおよびモバイル決済ソリューション、トレーディング処理など、幅広いサービスを提供している。

英国の調査会社チャーティス・リサーチの「Risk Tech100」でも3年連続で首位を維持するなど、セキュリティー分野にも強い。

昨年はインドの最大手タタ・グループの傘下、タタ・コンサルタンシー・サービシズに1位の座をうばわれたものの、奪還に成功した。

国際的な金融イノベーションに貢献するタタ・コンサルタンシー・サービシズ

2位に逆戻りしたタタ・コンサルタンシー・サービシズは、ADM(アプリケーション開発・運用・保守)からエンタープライズ・ソリューション、ITインフラストラクチャー、エンジニアリング、デジタル・エンタープライズ、ビジネスプロセス、コンサルティング、イメージングシステムまで、多様な商品・サービスを提供することで、金融産業における国際的なイノベーションに貢献している。

世界各地のベンチャー企業や研究機関と提携し、共同ネットワークを構築しながら、常に先端技術の研究・開発に積極的だ。

米国ウィスコンシン州で、電子商取引向け商品・サービス企業Fiserv が3位に。金融機関の取引処理に特化したエンド・ツー・エンド型のSTPソリューションズ (発注・売買・決済に至るまでの全プロセスを自動電子化した手法)「TradeFlow」などを提供している。

SWFIT(国際銀行間通信協会)の認定を受けており、高品質なビジネス提携をサポート。。銀行、投資、保険、融資、通信、医療、リテールなど、世界各地の様々な産業分野で1.6万の顧客をもつ。

日本のトップはNTTデータと野村総合研究所

日本のトップは昨年から5位を維持したNTTデータ。1967年に日本電信電話公社データ通信本部として設立されて以来、情報サービス産業の「システム・インテグレーター」として唯一、金融・公共・法人などの分野で1兆円を超える売上高を達成した。

最適なソリューション を提供するため、コンサルティングから運用・保守までの全プロセスを請け負い、ハードウェアメーカーや通信キャリアなどサードパーティーと共同でシステム開発を行っている。

現在は世界45カ国185都市以上 の国・地域に8万人の従業員をかかえ、その過半数が国外に勤務するなど、国際的な視野から事業にアプローチしている。

ベンチャー企業との連携による新規ビジネス創発活動にも積極的で、今後5年にわたり100億円以上のビジネス案件創発することが目標だ。

今年10月には三菱重工業とともに、MHI情報システムズ株式会社を母体とするNTTデータMHIシステムズを新規開設した(NTTデータより )。

またAIソリューション提供力の強化に向け、深層学習技術を活用した企業向けのソリューションを提供するLeapMindと提携 。2020年までにAIおよびIoT(モノのインターネット)領域で、売上高を500億円規模に押し上げる野望に燃えている。

同じくトップ10入りした野村総合研究所は、昨年より1ランク落とし10位となった。金融ITソリューションのほか、産業ソリューションやコンサルティング、IT基盤サービスを通して、社会の仕組みづくりや顧客の事業、消費者の快適な暮らしを支援している。

金融ITソリューションでは様々な領域をカバーしている。決済業務の自動化を図る「I-STAR/SC」、日銀ネットとのコンピュータ接続を実現するリアルタイム決済管理システム「I-STAR/LC」などの証券IT。国内シェア第1位の基準価額算出システム「T-STAR/TX」、ポートフォリオ管理システム「T-STAR/RX」など資産運用IT。

ほかにも銀行ITや保険ITといったソリューションを提供している。

GLORYは昨年から4ランクアップ 初登場のCapital Asset Planning

21位のGLORY は昨年から4ランクアップ。兵庫県姫路市を拠点に、主に金融機関向けの通貨処理機や情報処理機、自動販売機、電子マネーなど、通貨関連機器の開発・製造・販売・メンテナンスを行う企業だ。

設立100周年を迎えた現在は、オープン出納システムや重要物管理機、窓口ナビゲーション・システム、デジタル監視システムを含むオフィス、セキュリティー関連商品・サービスも取り扱っているほか、顔認証システムにも取り組んでいる。

「金融フロントエンドシステムのパイオニア」Capital Asset Planning は92位に初登場。金融リテール業務の潜在的な変化を的確に予想し、金融機関が事業戦略を実現する上で欠かせない最適なソリューションを提案する「ブティック型システム・インテグレーター」だ。

また顧客が保有する金融資産・生命保険・個人年金・不動産・自社株・信託といった全資産を、プラットフォームシステム「Wealth Management Workstation」上で一括管理し、次世代への円滑な資産移転・事業承継を支援する「資産管理プラットフォーム」も提供している。

エンタープライズ部門トップ25企業

金融関連事業の収益が全体の3分の1未満で、複数の事業分野で幅広くサービス提供をしている企業を対象としたエンタープライズ部門では、富士通と日立がトップ10入りした。 25社中15社が米国と、ここでも米国テクノロジーの強さに圧倒される。

25位 Verint 米国(23位)
24位 EPAM Systems 米国(24位)
23位 Tieto フィンランド(初登場)
22位 Unisys Corporation 米国 (21位)
21位 Teradata Corporation 米国(20位)
20位 DXC Technology 米国(初登場)
19位 HCL Technologies インド(18位)
18位 CGI Group カナダ(19位)
17位 Wipro インド(17位)
16位 Atos フランス(初登場)
15位 SAP SE ドイツ(15位)
14位 Thomson Reuters 米国(11位)
13位 HPE 米国(2位)
12位 Deloitte 米国(10位)
11位 Capgemini フランス(13位)

10位 日立 日本(14位)
9位 富士通 日本(12位)
8位 EMC 米国(8位)
7位 Intel 米国(9位)
6位 Oracle Corporation 米国(7位)
5位 Dell 米国(6位)
4位 Microsoft 米国(3位)
3位 Cisco Systems 米国(5位)
2位 Accenture アイルランド(4位)
1位 IBM 米国(1位)

日本Microsoft、野村総合研究所が「金融デジタルイノベーション・コンソーシアム」を共同設立

エンタープライズ部門上位にはIBMやMicrosoft、Cisco Systems、アクセンチュアなど国際IT大手がずらりと並ぶ、説得力のある結果だ。

1位のIBMは金融産業でも加熱するブロックチェーン技術の研究・開発・提供を、「IBM ブロックチェーン・プラットフォーム」などを通して積極的にリードしているほか、金融機関を対象とした「IBM FinTechプログラム」も提供している。

このプログラムではみずほ銀行や外部企業とのオープン・イノベーションを推進する 目的で、IBMクラウドでのAPIバンキングを稼働させている。

4位はIBM同様、国際IT大手のMicrosoft。日本Microsoftは今年10月、野村総合研究所と「金融デジタルイノベーション・コンソーシアム」を共同設立 。

金融産業へのクラウドの実用性を実証実験する一方で、セキュリティーやコンプライアンス対応といった金融機関全体に共通する課題について、各参加企業が情報を共有し、標準化および代表的な利用シナリオとシステム構成をまとめた「リファレンス・アーキテクチャー」を設定する。これにより業務改善や業容拡大だけではなく、コスト削減やIT投資の最適化などを狙っている。

日立と富士通が創出する「金融機関の新たな価値」

8位の富士通 は業種・業態の枠を超えた「金融機関の新たな価値の創出」に貢献を目標に、同社のデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」に対応した金融ソリューション「Finplex」を提供している。

従来の金融業務(銀行・クレジット・保険・証券・リースなど)とデジタル改革(マーケティング・ソーシャルファイナンス・コラボレーションサービスなど)を融合するというFInTech本来のコンセプトを、金融機関の業務効率化や異業種企業との連携による革新的なサービスの創出に活かすという発想だ。

9位の日立 はリテールを中心としたセールス重視のチャネル戦略へのシフトを促進する総合チャンネル・ソリューション「FREIA21+」を筆頭に、ビッグデータ戦略的活用支援ソリューション「vRAMcloud」、金融API連携サービス、投資信託販売支援ロボットアドバイザー・サービス、ATMパーソナライズソリューション、モバイル型キャッシュカード・サービスなど、顧客と市場の需要に見合った高品質なデジタル商品・サービスを、世界中で提供している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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