パーソルキャリア(旧インテリジェンス)が運営する転職サービス「DODA」が発表した「平均年収ランキング2017」で、金融分野が職種・業種ともにトップとなった。

職種ランキングでは技術系(IT/通信)と企画/管理系が上位20職種のうち約半数を占めた。一方、業種ランキングでは上位10業種のうち7つがメーカー関連の業種となっている。

職種・業種ごとの平均年収ランキングを紹介しながら、それぞれの傾向や前年との比較についてみていく。また金融分野がなぜ上位に多くランクインしているのかについても検証する。

職種別ではIT・企画が約半数

まとめ・ランキング,DODA,平均年収
(画像=PIXTA)

職種ランキングのトップ20からみていこう。まずは20位から11位を紹介する。

順位、職種名、職種分類名、平均年収の順に記載
20位 非臨床研究(技術系[メディカル/化学/食品])……558万円
19位 内部統制(企画/管理系)……566万円
18位 営業‐医療機器メーカー(営業系)……568万円
17位 研究開発(技術系[IT/通信])……572万円
16位 先行開発/製品企画(技術系[電気/電子/機械])……580万円
15位 IT戦略・システム企画(技術系[IT/通信])……584万円
14位 ITコンサルタント(技術系[IT/通信])……608万円
13位 プロジェクトマネジメント(技術系[電気/電子/機械])……613万円
12位 法務(企画/管理系)……614万円
11位 営業‐CRO/SMO/CSO(営業系)……616万円

20位から11位では、技術系職種のランクインが目立った。とくに「技術系(IT/通信)」からは10職種中3職種入っていることが注目される。

20位以下では、2016年に6位、2015年に5位だった「セールスエンジニア/FAE(技術系[電気/電子/機械])」が31位となっている。また、2016年、2015年ともに9位だった「財務(企画/管理系)」は21位だった。

それではランキングの10位から1位をみてみよう。

10位 プリセールス(技術系[IT/通信])……617万円
9位 経営企画/事業企画(企画/管理系)……617万円
8位 知的財産/特許(企画/管理系)……641万円
7位 営業‐医薬品メーカー(営業系)……651万円
6位 会計専門職・会計士(専門職[コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人])……657万円
5位 内部監査(企画/管理系)……663万円
4位 プロジェクトマネジャー(技術系[IT/通信])……670万円
3位 戦略・経営コンサルタント(専門職[コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人])……722万円
2位 運用[ファンドマネジャー/ディーラー/アナリスト](金融系専門職)……837万円
1位 投資銀行業務(金融系専門職)……855万円

トップが「投資銀行業務」、2位が「運用(ファンドマネジャー/ディーラー/アナリスト)」だった。この順位は前年と同じ。今回も金融系専門職が1、2位を占める結果となった。3位には専門職の「戦略・経営コンサルタント」が入った。

20位から11位と同様に技術系のランクインが目立ち、「プロジェクトマネジャー」や「プリセールス」が入った。また企画/管理系の職種では「内部監査」「知的財産/特許」「経営企画/事業企画」が入っている。上位50位まででもっとも多くランクインしたのは企画/管理系の仕事だった。

営業系の職種では7位に「医薬品メーカー」がランクイン。11位以下に「CRO/SMO/CSO」「医療機器メーカー」などが入っている。

「業種別」ではメーカー関連が多数

続いて業種別ランキングの20位から1位をみていこう(順位、業種名、業種分類名、平均年収の順に記載)。

20位 マーケティング/リサーチ(サービス)……479万円
19位 自動車/輸送機器メーカー(メーカー)……480万円
18位 機械/電気機器メーカー(メーカー)……482万円
17位 医療コンサルティング(メディカル)……491万円
16位 リース(金融)……495万円
15位 不動産金融(建設/プラント/不動産)……496万円
14位 電子/電気部品メーカー(メーカー)……501万円
13位 CRO/SMO/CSO(メディカル)……509万円
12位 コンサルティングファーム/シンクタンク(サービス)……520万円
11位 証券会社(金融)……528万円

10位 トイレタリー(メーカー)……530万円
9位 信託銀行(金融)……532万円
8位 家電/モバイル/ネットワーク機器/プリンタメーカー(メーカー)……538万円
7位 診断薬/臨床検査機器/臨床検査試薬メーカー(メディカル)……551万円
6位 医療機器メーカー(メディカル)……557万円
5位 総合電機メーカー(メーカー)……572万円
4位 医薬品メーカー(メディカル)……601万円
3位 たばこ(メーカー)……620万円
2位 財務/会計アドバイザリー[FAS](サービス)……633万円
1位 投信/投資顧問(金融)……741万円

業種別で1位となったのは、前年に引き続き「投信/投資顧問」だった。職種別でも金融系専門職がトップとなっており、金融分野の収入の多さを示す結果となった。

ただ金融業種からは、前年は「投信/投資顧問(1位)」「信託銀行(6位)」「証券会社(7位)」「損害保険(8位)」の4つがトップ10に入っていたが、今回は「投信/投資顧問(1位)」「信託銀行(9位)」と2業種のみのランクイン。「証券会社」は11位、「損害保険」は22位となった。他には「リース(16位)」「都市銀行(28位)」などがみられた。

業種別ランキングの2位は「財務/会計アドバイザリー」、3位は「たばこメーカー」だった。メーカー関連が多くランクインしており、医薬品、総合電機、医療機器などトップ10に7業種が入っている。

金融分野がランキング上位に入る理由

職種別・業種別の両方のランキングで金融分野がトップとなり、上位には複数ランクインしている。なぜ金融分野は強いのか。その背景や動きについてみていこう。

金融業界はもともと給与水準が高い傾向にあるが、今回の職種ランキングで1位となった「投資銀行業務」、2位の「運用(ファンドマネジャー/ディーラー/アナリスト)」は近年の平均年収ランキングでは常に上位につける職種だ。これらの仕事は投資にかかわる専門職であり、高度な知識やスキルが要求される。専門性が求められる仕事だからこそ、給与水準も高くなっていると考えられる。

一方、同じ金融分野でも専門性があまり求められない職種では平均年収がさほど高くない。今回の調査では「消費者金融(30位)」「クレジット/信販(33位)」「生命保険(39位)」などの職種でランキングが低い傾向にある。

ランキング上位に金融分野の仕事が多数入っていることについて、DODAではマイナス金利を1つのポイントとして挙げている。超低金利のなか投資や資産運用への関心が高まり、そのニーズに応えるように投信投資顧問・投資銀行・運用の分野では求人が増加傾向にあるという。ニーズの高まりが高収入を後押ししているとも言えよう。

また金融業界全体でみると、FinTechの影響も大きいと考えられる。金融とITを融合したFinTechへの注目が高まりをみせるなか、金融業界には新サービスの登場やサービスの効率化といった変化が次々と生まれている。

さらにFinTechは金融業界のみならず、「技術系(IT/通信)」を始めとした他の業種や職種にも影響をもたらしている。今回のランキングで金融やIT技術にかかわる職種が上位につけているのは、こういった背景も関係しているのだろう。

職種分類、業種分類によるランキング

最後に、職種分類や業種分類による平均年収ランキングをみてみよう。本調査では、先述した職種・業種を個別に比較したランキング以外にも、同じ職種分類や業種分類ごとに平均年収を算出したランキングも発表している。

職種分類は11種類に分けられている。平均年収が高かった職種分類を5位から1位まで紹介しよう(順位、職種分類、平均年収の順に記載)。

5位 「営業系」……443万円
4位 「技術系(IT/通信)」……463万円
3位 「技術系(電気/電子/機械)」……484万円
2位 「企画/管理系」……520万円
1位 「専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)」……609万円

トップは「専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)」だった。職種別総合ランキング3位の「戦略・経営コンサルタント」や6位の「会計専門職・会計士」が含まれ、全体の順位を押し上げた。

2位の「企画/管理系」には、総合ランキング5位の「内部監査」、8位の「知的財産/特許」、9位の「経営企画/事業企画」などが含まれる。

職種別総合ランキング1位の「投資銀行業務」、2位の「運用(ファンドマネジャー/ディーラー/アナリスト)」が含まれている「金融系専門職」は、「営業系」に次ぐ6位だった。同じ分類の仕事でも個々の年収の差が激しいことがうかがえる結果となった。

一方、業種分類は10に分けられている。こちらも平均年収が高い業種を5位から1位まで紹介しよう(順位、業種分類、平均年収の順に記載)。

5位 「金融」……450万円
4位 「メディカル」……453万円
3位 「メーカー」……465万円
2位 「IT/通信」……466万円
1位 「総合商社」……478万円

トップは「総合商社」。年収1000万円以上の割合が7.3%と、他の業種分類に比べて高収入の層が厚いことが平均年収を上げる要因となった。

2位の「IT/通信」では、業種別総合順位で23位の「システムインテグレータ」や、24位の「ハードウェア/ソフトウェア/パッケージベンダ」、25位の「ITコンサルティング」が順位を上げる役目を果たした。

注目すべきは職種別・業種別の総合ランキングでトップの「金融」が、業種分類では5位だったことだ。総合ランキング1位の「投信/投資顧問」、9位の「信託銀行」、11位の「証券会社」などが上へ引っ張ったが、下位にランキングされた業種の影響でこの結果となった。(渡邊祐子、フリーライター)

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