金融の専門家が選ぶ「最も働きたい銀行(投資銀行)ランキング」で、ゴールドマン・サックスが2年連続首位に輝いた。2位は昨年から2ランクアップしたエバーコア、3位はセンタービュー・パートナーズが維持という結果に。

4位以下は順位の変動が大きく、昨年2位だったモルガン・スタンレーを筆頭に、クレディ・スイスやバンカメなど大手がこぞって順位を落としている。UBS やシティグループに至っては20位以下にまで転落、5位だったJPモルガン・チェースは一気に18位まで急降下した。

米国の人材あっせん企業ヴォールト(Vault)が2011年から毎年発表しているランキングで、大手投資銀行85社以上から選ばれた2400人の専門家を対象に、2017年春~夏にかけて実施されたアンケートに基づき作成されたものだ。各銀行の「権威(40%)」「社風(20%)」「報酬(10%)」「全体的な満足度(10%)」「ワークライフバランス(5%)」「トレーニング(5%)」を総合的に評価している。

「最も働きたい銀行トップ20」

投資銀行,JPモルガン人材
(画像=Thinkstock/GettyImages)

カッコ内は前回順位

↑ 20位(23位) グッゲンハイム・セキュリティーズ (Guggenheim Securities)米国
↑ 19位(21位) 米国バークレイズ投資銀行(Barclays Investment Bank Americas)米国
↓ 18位(5位) JPモルガン・チェース(J.P. Morgan Chase)米国
↑ 17位(19位) ループ・キャピタル・マーケット(Loop Capital Markets)米国
↓ 16位(11位) クレディ・スイス(Credit Suisse)スイス

↑ 15位(17位) コーウェン(Cowen)米国
↑ 14位(16位) ベアード(Baird)米国
→ 13位(13位) ピーター・ソロモン・カンパニー(PJ Solomon)米国
↑ 12位(14位) ウィリアム・ブレア―(William Blair)米国
↑ 11位(12位) フーリハン・ローキー(Houlihan Lokey)米国

→ 10位(10位) PJT パートナーズ(PJT Partners)米国
↓ 9位(6位) バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)米国
→ 8位(8位) ペレラ・ウェインバーグ・パートナーズ(Perella Weinberg Partners)米国
↑ 7位(20位) ラザード(Lazard)米国
↑ 6位(7位) グリーンヒル・アンド・カンパニー(Greenhill & Company)米国

↑ 5位(9位) モーリス・アンド・カンパニー(Moelis & Company)米国
↓ 4位(2位) モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)米国
→ 3位(3位) センタービュー・パートナーズ(Centerview Partners)米国
↑ 2位(4位) エバーコア(Evercore)米国
→ 1位(1位) ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)米国

「働きたい銀行」と「権威ある銀行」は違う?

新たなトップ20で変動が見られなかったのはゴールドマン・サックス(1位)、センタービュー・パートナーズ(3位)、PJTパートナーズ(10位)、ピーター・ソロモン・カンパニー(13位)の4社のみ。エバーコアやモーリス・アンド・カンパニー、ラザードを含む11社が順位を上げ、大手5社が順位を落とした。

ヴォルトが発表しているもうひとつの銀行ランキング「最も権威のある銀行ランキング」 では、これらの大手銀行が上位を独占している点が興味深い。ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースが昨年に引き続きトップ3を占めている。

大手銀行の専門家が「ブランドを高く評価する銀行」と、「仕事・私生活・報酬・信用などで総合的にバランスがとれている」と感じる銀行では温度差が大きいということになる。

13ランクアップのラザード、「旬の投資銀行」エバーコア

「働きたい銀行ランキング」の上位で最も跳躍したのは、13ランクアップしてトップ10入りを果たしたラザード(7位)。ニューオリンズで1848年に乾物業者として設立され、世界27カ国、43都市にオフィスを持つ国際投資銀行に転身した変わり種だ 。資産運用と金融アドバイザリーを主要業務としている。PSA・プジョー・シトロエンの大型合併などを仲介した実績でも知られている。

実際の従業員の評判から判断するかぎり、「難易度の高いタスクを少人数のチームで効率的にこなしていく」という社風が高い評価を受けているようだ。その反面、「下層・中層部の声が上層部に届きにくい」「ワークライフバランスがとりにくい」といった不満も挙がっている。

天下のモルガン・スタンレーから2位の座を奪ったエバーコアは、回答者曰く「旬の投資銀行」との呼び声が高い。2015年まで同ランキングで1位だったブラックストーンの傘下にあるブティック投資銀行だ。2016年11月にはゴールドマン・サックスで30年以上の経験を積んだベテラン、ジョン・ワインバーグ氏を執行会長に迎え、ロンドンや日本、オーストラリアへも進出 を目論んでいる(ブルームバーグより)。

「最も革新的なブティック投資銀行」モーリス・アンド・カンパニーが大幅上昇

同じくブラックストーンから2015年にスピンオフし、昨年初登場となったPJT パートナーズは10位を維持。やはり今年で2度目のランクインとなるループ・キャピタル・マーケットは2ランクアップした。

モーリス・アンド・カンパニーは4ランクアップ。2007年に設立されたブティック投資銀行で、2011年には国際金融情報誌ザ・バンカーの「最も革新的なブティック投資銀行」に選ばれたほか、ユーロマネーの「最も優秀な独立系投資銀行」にも選ばれた(クランチベースより )。ニューヨーク、ロンドン、シドニー、香港、北京、フランクフルトなど、世界の主要都市で事業を展開している。

トップ20入りしたグッゲンハイム・セキュリティーズは、国際大手グッゲンハイム・パートナーズの投資・資本市場部門である。母体であるグッゲンハイム・パートナーズはシカゴとニューヨークを拠点に2500人を超える従業員をかかえ、国際的な事業を展開している。

国際大手銀行後退についての情報が記載されていない点が残念だが、職場環境やワークライフバランスという点で、モーリス・アンド・カンパニーやセンタービュー・パートナーズのようなブティック投資銀行の人気が上がってきているのではないかとの指摘もある。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)