昨日の海外時間には、発表されたECB議事録で2018年はじめに金融政策に再検討を加える可能性がある、とされたことからユーロ買いが強まる一方、全般的にドル売りが強まったことからドル円は前日の安値を更新しました。
昨日の海外市場動向
欧州時間序盤、米長期金利がやや上昇したことから円売りが優勢となって、ドル円は111.80円台まで、ユーロ円は133.60円台まで上昇しました。しかし米長期金利が伸び悩むと円は買い戻され、ドル円は111.50円台まで、ユーロ円は133.20円台まで反落しました。この間ユーロドルは1.1940付近を中心としたもみ合いとなっています。
NY時間午前にかけて、ECB議事録が公表されると「金融政策姿勢や、政策方針のさまざまな次元に関わる文言について、来る年(2018年)のはじめに再検討を加える可能性がある」とされたことがタカ派的、とされて独長期金利が上昇する中ユーロ買いが強まって、ユーロドルは1.2020台まで、ユーロ円は134.30円台まで上昇しました。その後発表された米・12月生産者物価指数が予想外に前月比でマイナスだったことから円買いが強まって、ドル円は111.30円台まで、ユーロ円は113.90円台まで下落しました。
NY時間午後にはいると、米長期金利が低下したことから円が一段高となって、ドル円は111.00円台まで、ユーロ円も133.60円台まで下落幅を拡大しました。この間ユーロドルは1.2030台を中心としたもみ合いとなっています。
東京時間にはいって、仲値決め前後で円買いが強まって、ドル円が111.00円台まで下落する場面もありましたが、その後は堅調に推移しています。
FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは68%で変わらずでした。
今日の予定
今日の海外時間には、米・12月小売売上高、米・12月消費者物価指数の発表があるほか、ローゼングレン・米ボストン連銀総裁の講演が予定されています。
今後の見通し
昨日公表されたECBの議事録では「インフレ軌道の持続的な調整に向け進展するなか政策金利のフォワードガイダンスが持つ相対的な重要性は増す」ことから2018年はじめに「金融政策姿勢や、フォワードガイダンスのさまざまな次元に関わる文言について、再検討を加える可能性がある」とされました。また「良好な経済環境と、危機時の枠組みを維持する政策姿勢の間にずれが現れ始めているように見受けられるとのコメントがあった」ともあって、全体的にタカ派的とされ、独長期金利が上昇しました。今週は、日本、アメリカそして欧州と長期金利が上昇しましたが、結果的にドルが売られています。ただ米長期金利も節目の2.50%を上抜いて推移していることから、ドル安の流れが長期化するかは疑問です。
再びユーロ円ロング
昨日ユーロ円は、注目していた133.90円を上抜いて上昇したあとの押し目が、安値からの上昇の半値押しで下げ止まったことから133.80円で再びユーロ円のロングを構築しました。損切りラインを133.50円に設定し135円台での利食いを目指します。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。