米国株市場でダウ平均が2万6000ドルを突破した。2万4000ドルをつけたのが昨年11月末。それから年初に2万5000ドルをつけるまで、すなわち1000ドルの大台替わりに要した日数はわずか20営業日余り。今度の1000ドルの大台替わりはわずか8営業日だった。

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(画像=Thinkstock/GettyImages)

日経平均も負けていない。大発会に2万3000円の大台を抜けて、次の2万4000円台までは9営業日で来た。昨日は利益確定売りに押されて終値では2万4000円をキープできなかったが、とりあえずザラ場では高値を更新した。日米でスピード競争が始まったようだ。

当然、高値警戒感も出る。しかし、日経平均のPERは15.5倍。アベノミクス相場開始以来、過去5年間の平均である。まったく過熱感がない。来週から始まる決算発表シーズンで業績が上方修正されると思うが、そうなればまた平均以下の水準に下がる。株価には上値余地が出てくる。

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米国株はどうか。確かに過去平均に比べれば高いが、現在のPERを額面通りに受け取らない方がよいかもしれない。見た目ほど割高ではない、ということだ。

その理由は税制改革の影響を相場はまだじゅうぶんに織り込んでいないからである。

法人税減税でボトムライン(最終利益)が上方修正されるのは、いわば自動的な効果だからアナリストの予想に反映されているだろう。しかし、レパトリ減税で米国に還流される資金については織り込まれていないと思われる。

今朝の日経新聞が報じているように、大型税制改革を受け、米企業が国内投資と雇用増に一気に動き始めた。まっさきに動いたアップルは国外に滞留させている巨額の資金を本国に戻し、原資とする。米国は2005年にも時限立法で国内に還流する所得への税率を大幅に引き下げた。それによって2~3千億ドル規模の資金が米国に還流したと推計されている。その国内還流利益の多くは自社株買いや配当など株主還元策に充てられたと見られている。実際に米国の自社株買いはその時期を境に急増している。

今回は当時に比べて株価が高いので、それほど多くの自社株買いは出ないという観測があるが、それでも未だに多くの経営者にとって自社の株価上昇は経営上の重要課題であり、それに貢献する手段(=マネー)を得れば、自社株買いの動機にはじゅうぶんである。今回も相当程度、自社株買いは増加するだろう。

こうしたことを考慮すれば米国株のPERは見かけほどは高くないと思われる。

日経平均とNYダウ平均。起点のとりかたにもよるが、最近のパフォーマンスに遜色がない。年初来でも、3カ月でも半年でもほぼ同様のリターンである。時期は多少前後しようが、いずれ日経平均もダウ平均も「3万」の大台に乗るだろう。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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