パーティーの招待状を受け取り、案内文にはドレスコードとして「ブラックタイ着用」との指定があった場合、どうすればいいのだろうか。喪服に使う黒いネクタイを想像して、華やかなパーティーにそんなものを身に着けてよいのかと不安になった人は、この機会に本当の意味を学ぼう。

経営者専門オーダースーツテーラーとして、大阪・淀屋橋と東京・代官山にサロンを展開し、現役プロ野球選手、有名ミュージシャンから上場企業まで2,000名を超える経営者をクライアントに持つ「イルサルト」社長、末廣徳司氏は以下のように解説している。

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(画像=Shutterstock/ Nejron Photo)

「ブラックタイ着用」は「蝶ネクタイ+タキシード」が求められている

まず、最初のステップとして理解しておかなければならないのは、ドレスコードでブラックタイと指定された場合、お葬式などで着用する黒いネクタイを指しているのではないということだ。パーティーでのブラックタイは、黒の蝶ネクタイ(ボウタイ)のことを表している。蝶ネクタイを着用する装いとなると、通常のビジネススーツではなく、タキシード(アメリカ式の呼称)またはディナースーツ(イギリス式の呼称)と呼ばれるフォーマルウェアを合わせることになる。

多くの人が一度は耳にしたとこのあるタキシードだが、その特徴をおさらいすると、ジャケット、パンツの上下とも黒かミッドナイトブルーの同じ生地で仕立てられたものだ。さらに、ジャケットの襟には光沢のある拝絹のデザインが施され、パンツの脇には側章といわれるラインが両脇に飾られる。タキシードに合わせるのが黒の蝶ネクタイであることから、この装い全体を「ブラックタイ」と表現する。つまり、ドレスコードでブラックタイの指定があった場合は、黒の蝶ネクタイをビジネススーツに合わせればよいというものではなく、タキシードの着用が求められていることになる。

着こなしの7つのポイント

普段、着こなし慣れていないタキシードに挑戦するのはハードルが高い。せっかくのパーティーに招待され、フォーマルな装いに身を包むのであれば、着こなすポイントをしっかりと抑えておきたいところだ。タキシード着こなしの7つのポイントを紹介する。

1.シングルのジャケットにはカマーバンドかベストを
タキシードのジャケットがシングルの場合、腹部に巻くカマーバンドといわれる飾り帯か、ベストを着用する。

2.パンツの裾口はシングル
側章のラインが両脇に伸びるパンツの裾は、シングルで仕上げる。

3.サスペンダーを使用
日常のスーツでは、ベルトでウエストマークをするのが一般的だが、タキシード着用の際は、サスペンダーを使用する。

4. シャツは通常襟でもウイングカラーでも可
カフスもシングル、ダブルどちらでも問題ない。

5. ネクタイは拝絹と共地の蝶ネクタイ(ボウタイ)
基本的には黒を着用するのがルールだ。

6.靴はエナメル素材
「女性の長いイブニングドレスの裾を靴墨で汚さないため」という配慮から、靴墨なしで手入れ出来る靴(=エナメル素材)を履くのが社交場のマナーだ。黒い靴下を履くことも忘れずに。

7.ジャケットのポケットにはチーフを
白のシルクがスタンダードだ。

フォーマルウェアの着こなしの大前提は「ルールを守って回りに不快感を与えない」ことだ。年度が替わる春は、フォーマルなパーティーに招待される機会も増える季節。もしブラックタイのドレスコード指定があっても、紹介したポイントを実践することで、周囲から浮いてしまう心配もなくなり、フォーマルな装いに身をつつみながら、パーティーを楽しむことができるだろう。(ZUU online 編集部)